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スコットランド国立美術館展を観る(その1) [ART]

(12月11日日曜日)

 渋谷東急Bunkamuraで行われているスコットランド国立美術館展を観に行って来ました。

 同行した友人の都合で17時入館。日曜日のこんな時間から展覧会に行くことなんて、普段の僕にはあり得ません。閉館まで、あとたったの2時間だなんて考えてしまったら、気持が急いてしまって絶対に落ち着かないから。絵を観るときは、出来る限り余計なことを気にしたくないもんですよね。

 混雑を我慢するのが当たり前のような東京での人気の企画展。絵を観るよりも館内の行列で延々と身動きが取れなくなってしまうことを考えると、2時間なんて有って無いような、何とも心許ない時間なのです。だから内心気乗りしてなかったんですよね~。でも、行ってみたら昨日に関してはこれが大正解!。本当にゆったりと心ゆくまで落ち着いて絵を鑑賞出来た、とっても嬉しい一日になりました。こんなの久し振り~!(^^。

 なんでだ~???。
入館していきなり吃驚して声に出してしまいました。だって館内、ガラガラなんですもん。

 先日のプーシキン展の押し合いへし合いの大混雑と較べたら、この客入りはまるで平日の国立西洋美術館の常設展にでも来たかのようです。Bunkamuraの関係者の方々には申し訳ないですが、思わず心の中で「ラッキー!」と呟いてしまう僕(^^ゞ。

 これほどに空いていれば、他の観覧者の方の迷惑にならないように気さえ配れば、好きなだけ絵の真正面に居ることが出来ます。顔を寄せて、筆の流れや絵の具の薄さ、厚さを間近に感じ、今度は離れて全体を隈無く眺める。画家の名、作品のタイトル、描かれた年代、作品の説明を読んで、また近付いたり離れたり。

 そう。いつもこんなふうに絵を観たいのです。気に入った絵の前で、その絵の中のもの全てを目に焼き付けようとする。筆やペンを持った気になって、絵のディティールを頭の中でなぞってみる。そして、その中に入り込んで、いろんなことに思いを巡らせ想像してみる。ゆったりとそんな時間が心ゆくまで過ごせたら、それは僕にとって本当に幸せな時間。

 この日、僕はまさにこんな気持でいっぱいに満たされて来ました。

 この日先ず、興味を惹いたのはプーシキン展で観て来たばかりのモネ一連の「積みわら」の中の一枚、「積み藁、雪の効果」(写真①)です。


(①・・・「積み藁、雪の効果」 1891年)

 プーシキン展に在った「ジヴェルニーの積みわら」(写真②)は背景の背の高い木についた鮮やかな紫色の花が印象的で、この木は一体なんて名前の木なんだろう、と強く気持に引っ掛かっていたのです。花咲く頃の田園風景を描いた美しい作品ですね。


(②・・・「ジヴェルニーの積みわら」 1884-89年)

 対して、スコットランド展の「積み藁、雪の効果」は積みわらとその影以外にはっきりしたものは何も見えない、一見何だかとても淋しい絵。でも、雪の白、藁の茶、影のブルー、空の肌色にも近い薄いオレンジ、それぞれが微妙に重ねられることから生まれる、モネだからこその光の効果。画面に立ち上る雪の冷気と柔らかな陽。この絵は、僕を清々しい朝を迎えたような凛とした気持にさせてくれます。

 やはりモネの連作である「睡蓮」と較べてしまうと、なんとも「積みわら」は地味なテーマで、今まであまり面白みを感じていなかった僕なのですが、連作ってやはりこんなふうに対比してみて初めて、観る側の感想も別の所へと膨らんで行けるものなんだなぁ。

 これは同じテーマの2枚の絵を短いサイクルで観ることが出来たから感じられた比較の愉しみかな。それも、様々な展覧会の多い首都圏に住んでいればこそ、ですね。

 今回はゆっくり観て来たので、話に触れたい絵がまだ他にもたくさん。
もうちょっと、続けて書きたいなって思います。
その2へ続く)


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