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帰国当日の朝~オルセー美術館へ行く [2006伊仏旅行]

3月14日(火曜日)

 一体いつの日記を今頃書いてるんだよ~、って我ながら呆れてしまうのですが(汗)、東急Bunkamuraで開催されているガレ展を観たら、やっぱりオルセーのことを書きたくなってしまいました。5月以来、3ヶ月振りの続きです(苦笑)。


 いよいよ旅行もこの日でおしまい。午後にはパリを発って日本へ戻ります。

 前日の夜から、明日の午前中はどこへ行こうか、マルモッタンとか初めての美術館へ行ってみようかとも悩みましたが、やっぱりまた昨年の旅行の最終日と同様にオルセー美術館に行くことを選びました。せっかく歩いて数分のところに泊まっているのですから、少ない時間が一番有効に使えると考えたのです。





 昨年は朝9時ちょっとにオルセーに着いたというのに、その時点で既に数百人単位のかなり長い行列が出来てしまっていました。以前来た時は何も待たずに、そのままス~ッと入れてしまったので、これは全くの予想外。

 加えて、並ばされている途中には雪も混じる様な冷たい雨(昨年の滞在中の気温は連日氷点下でした)に降られて、傘も持っていなかった僕の気持ちはもうめげそう・・・。途中ホテルへ戻ろうかと本気で考えたくらいでした。

 9時半に開場しても、テロ対策で空港並みのチェックが為されたこともあって、入場待ちの列はなかなか進みません。散々じりじりさせられて入館出来たのは10時半近くになってから。

 そして、やっとのことで入館したと云うのに、12時には友人との帰国前最後のランチの待ち合わせの為にここを後にしなければならず、結局館内に居られたのは正味1時間半足らずだったのです。

 広いオルセーでたったの1時間半はあまりに悲しい。それこそダッシュで印象派の在る上階へ駆け上がって、ジェットコースターで下る様な勢いでフロアを巡らなくてはなりません。これではじっくりと心ゆくまで好きな作品を鑑賞するなんて、到底無理な話。

 致し方なく、ずっとカメラ片手に作品を早足で回り、気になった作品はメモリの容量の許す限り撮影。日本に戻ったら写真でゆっくり見直そうと考えました。

 しかし、これがなかなか思ったようには上手く運びません。照明は展示室によってまちまち。明るい場所も有れば暗い場所もある。フラッシュは当然使えません。その日持って行ったカメラは電源をOFFにするたびISOの設定がデフォルトに戻されちゃうので面倒なことこの上なし。かと云ってずっとスイッチ・オンじゃ電源もいつ無くなってしまうか心配。

 持ち時間も含めて、いろいろ心配事を考えながらだと、だんだんに落ち着かなくなってきます。それでいて簡単に済まそうとササっと撮ると、額が斜めになってしまっていたり、ブレたピンぼけ写真になってしまっていたり。あの場では、いちいち小さな液晶画面で撮った絵を確認なんてする気持ちの余裕も無かったんだよなぁ。家に戻りPCに繋いで確認したら、たくさん撮った割にはダメな写真ばっかりで、それはもう本当にガッカリでした(苦笑)。

 例えばこのメアリー・カサットの描く可愛らしい赤ちゃんもご覧の通りピンぼけです。暗いから手ブレしやすいわ、ガラスは反射するわ、正面から写せばカメラ構えた自分が映っちゃうわで、カメラに詳しくない僕にはホントにムズカシかったなぁ・・・。

 作品を写真に撮るってことは、本来ならあまり意味のあることとは思えませんが、収蔵作品の多いオルセーでは僕の持っている2冊の図録に載っていない絵画、美術品がそれこそ数え切れないほど。と云うよりも、図録に載っているものが、全体のほんの一部なのです。だから、気になった作品を忘れたくなければどうしたって写真に残しておきたかったんですよねぇ・・・。



 そんな気持ちや昨年の失敗を踏まえて、この日は朝から気合い十分。早々に日本への帰り支度も整えて、朝食も摂らずにさっさとオルセーへ。どうせ並ばされるんだったら一番に入れるくらいに行っちゃおう!って考えたのです。

 しかし・・・、さすがに僕が着いた8時丁度は早過ぎたみたい・・・。まだ誰も並んでませんでした。って、当たり前か(失笑)。

 それでもホテルからはほんの6~7分のところなのですから、戻ろうと思えばすぐ戻れるので気は楽です。

 天気も好さそうだし、折角だから、ひとりセーヌ沿いをのんびり散歩することにしました。すぐ目の前にある橋を向こう側へ渡って、水面のすぐそばまで降りてみます。

 この日の朝は水かさが多くて何だかとっても濁ってます。鴨くんたちも泳いでるけど、ゴミだってたくさん浮いてるし、お世辞にもきれいとは云えないよなぁ・・・。

 「パリだってきれいな顔ばかりじゃないんだ。」

 そんな当たり前のことを今更ながらポツリ呟きつつ、ジュリエット・ビノシュの出演していた「ポンヌフの恋人」を思い出したりして。あのストーリーって、朝一番に思い出すのはちょっと重たいよね(苦笑)。


 川の水量が異常に多い所為でしょう。本来ならクルマも通る水縁の道が完全に冠水していて、この角度から見るオルセーは水に浮かんでいる様にも思えます。朝日の色が建物にオレンジがかって映えるのでちょっと夕方の様にも見えますが、写っている時計の示すとおり、時間は朝の8時15分(笑)。


 コンコルド橋も行き過ぎ、エッフェル塔がちゃんとに見えるアンヴァリッド広場の前に掛かるアレクサンドル3世橋を渡って、元のオルセー側の岸に戻ります。

 さて、なんだかんだ云って30分近く歩きました。
 時間はそろそろ8時半。もうそろそろ戻った方がいいよね。もしかしたら、もうすっかり行列が出来ているかもしれない・・・。そしたら、何の為に8時丁度に来たんだか。道すがら、そんなふうに急に不安がよぎり始めます。ちょっと欲張って歩き過ぎちゃったかな(苦笑)。

 結局そこからオルセーに着くまで、しっかり15分掛かってしまいましたが、幸いにして並んでいたのはたった6人だけ。ホッとしました(^^;。これなら何の問題も無し。そこから開館の9時半まではおとなしく列で待つことにしました。(→その②へつづく)。


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TaekoLovesParis

オルセー、並ばずにはいれそうでよかったですね。
私はいつも難行苦行。
ベニスのような水辺のオルセーの写真は、珍しいですね。

アレクサンドル3世橋は金色で荘厳。ここを渡るときは「パリにいる」って
強く思います。「橋の上の娘」は、工事中のポンヌフだったからこそ、の
ストーリーでしたね。

メアリー・カサットのやさしいモチーフは私も好きです。
カサットはアメリカ人なので、アメリカの美術館には必ずのようにカサット作品
があります。私はボストン美術館の「5時のお茶」という、優雅に銀のティーセットでお茶を楽しむ絵が、ゆったりとした幸せな時間という空気が伝わってくるので気にいってます。
by TaekoLovesParis (2006-08-20 22:35) 

yk2

taekoさん、こんばんは。

>アレクサンドル3世橋は金色で荘厳。ここを渡るときは「パリにいる」って
>強く思います

あんな金ぴかな飾りが付いてる橋はあんまり他には見当たらないですものね(笑)。タクシーなどで通りがかってもどうってことなく思えてしまうのですが、歩くとやっぱり「派手な橋だな~」って(笑)。丁度、連日雇用法改正反対の学生デモがあった時で、この日も何かあったのかな?。朝からパトカーと警官がたくさん。道路も大渋滞でした。

カサットは99年にロー・コレクションの展覧会があった時に観た「子供に授乳するルイーズ」で大好きになりました。なんて赤ちゃんの表情が可愛らしいんだろう!、って。それまで子供の絵なんてそんなに興味なかったんですが、カサットを好きになってからですね、ルノアールやモリゾもいいもんだな~って思うようになったのも。

taekoさんの好きな「5時のお茶」、見たことないのでまたどこかで検索して探してみますね。どんな絵だろう。
by yk2 (2006-08-21 01:19) 

TaekoLovesParis

yk2さん、「5時のお茶」は小さい複製ですが、
http://www12.ocn.ne.jp/~art7000/meisaku2.htm
by TaekoLovesParis (2006-08-21 08:37) 

yk2

taekoさん、リンク教えて下さってありがとうございます。
もっと大きい画像で見たくって、僕もいろいろ探してみました。
「cassatt tea」で検索したらすぐ見つかりましたよ~。

「5時のお茶」はおじょーさま育ちのtaekoさんらしい、とっても優雅な作品でござりまするね(笑)。
by yk2 (2006-08-21 21:53) 

シェリー

オルセー美術館。聞いたことはありますがもちろん行ったことありません。
水に浮かんで見えますね~
朝日の感じもとっても素敵で絵葉書を見てるみたいです。
私もいつかこんな素敵な写真を撮りたいな~
食べ物ばっかり(笑)
by シェリー (2006-08-21 22:41) 

yk2

シェリーさん、こんばんは。
僕の方が食べ物ばっかりですよ、写真撮るのは(笑)。
シェリーさんは地元のお祭りや名所をちゃんときれいに撮ってblogに載せてらっしゃるじゃないですか。

僕は絵を描いても風景画が苦手だったから、写真も風景は上手く写せないのです。構図が頭の中でパッときれいに決まらないんだな、きっと・・・(苦笑)。
by yk2 (2006-08-21 23:32) 

ご無沙汰です♪
中々更新できませんが、また時々遊びに来ますね♪
by (2006-08-23 05:31) 

yk2

bizouxさん、こんばんは。お久し振りですね!
その後元気になさってますか?。

この季節は当然お忙しいのでしょうね。
cdmさんもフランスからの更新は何かと大変そうだし、bizouxさんもなかなかブログを更新して下さらないので、はっきり云って最近ちょっとツマラナイです!(笑)。
by yk2 (2006-08-23 21:46) 

ivanisevic

ブログへのコメントありがとうございました。オルセー美術館の記録遅ればせながら楽しませていただきました(ダイアナ妃が不審死
を遂げた夏に初めて訪問しました)Jazz、絵画、ワインとエレガントな構成のブログに今後とも期待しています。
by ivanisevic (2007-10-23 20:00) 

yk2

ivanisevicさん、コメントありがとうございます。

オルセーは本当に素晴らしい美術館ですよね。何度でも訪れたくなります。ただ、一度としてのんびり鑑賞出来たことがないので、次回こそ心ゆくまで満喫したいと夢見てるのですが、その次回って一体いつなの?、って感じです(苦笑)。
by yk2 (2007-10-23 21:09) 

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