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見えないモネが描けたわけ [ART]

 晩年、白内障を患い失明同然だったモネは如何にして絵が描けていたのだろう?。

 そんな疑問を自分のブログに記した1週間後の日曜日、たまたまその放映内容に気付いて、僕はNHKの「迷宮美術館」のモネ特集を見ていた。すると、何ともタイミング良く、まるで僕の疑問がNHKの番組スタッフに届いたのではあるまいかと思うくらいにあっさりと、それに対する答が貰えた。

 僕にはどうして描けたのか、まるで考えが及ばないと先日も書きましたが、皆さんには想像が着きますか?。


「日本風太鼓橋」(1918-24)・・・マルモッタン美術館


 モネの白内障は1908年、68歳の時に発症した。初めはもやもやと霞が掛かっていた程度だった症状は時間と共に悪化し、次第に画家の視界を黄白色に濁らせて行った。例えばここに載せたこの日本風の橋を手掛けていた頃には、最早色の識別さえも殆ど叶わず、眼前にある物が微かにやっと識別出来る程度だったのだと云う。周囲はモネに何度も手術を勧めたそうだが、例え治療が成功したとしても、今までと物の見え方が全く変わってしまうのではなかろうかとの恐れを抱き、モネはそれを拒んだ。
(※1923年、モネは83歳にして2度の右目の手術を受けることとなる)

 それでも最後まで画家として、描くことに執念を燃やし続けたモネは絵を決して諦めなかった。何とか読む事が出来た絵の具のチューブに書かれた色名や番号などの文字情報を頼りに、使う色の絵の具を常にパレット上の決まった位置に置くことで、目で色が識別出来ない弱点を見事克服して行ったのだ。
 同じく白内障を患ったドガは創作対象を彫刻へと移し、カサットは悲嘆に暮れ虚しく失意の日々を過ごした。しかしモネは、実際に自分が描いている作品さえ満足に視認出来なくなってしまっていると云うのに、それでも記憶の中の光と色だけを頼りにして、これらの絵を力強くも描き続けたと云うわけなのだ。

  この時期のモネの絵が抽象画に見えるのは、健常な我々の目に映る世界の印象なのであって、視力を失いつつあったこの時のモネにとっては、今まで描いて来た風景画と何等変わることは無かった。
 ポール・シニャックのモネ評が、そのことを簡潔に言い表している。「モネは見た儘に描こうとしているのでははなく、感ずるが儘に描いているのだ」と。



「睡蓮の池」(1900)・・・ボストン美術館

 絵は、何の説明も必要とせず、ただ単純に観るだけでも充分楽しめるものだ。いや、本来は何も知らずに観た者に感動を与えてこそ、真の芸術なのだと僕も思う。でも、それを踏まえていたとしても、画家や作品についてのあれこれを知って再び鑑賞に臨むと、それまでと全く別のものが見えて来る面白味も、やはり捨てがたい。この番組を見たら、僕ももう一度モネ展へ出掛けたくなってしまった。
 


モネに関連する過去記事

・「モネ大回顧展を観る」・・・→http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2007-05-13
・「オルセー美術館に行く#3~印象派の画家たち」・・・→http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/Orsay-3
・「モネ夫人の肖像 / クリーブランド美術館展を観る」・・・→http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2006-11-06


タグ:印象派 モネ
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pistacci

この番組は見落としましたが、そういうことだったのですね。
長年絵を生業としてきた方だから、はっきりとした色の違いが分からなくても、うっすらとわかって想像で書いていたのかとは、思ってみてました。
モネ展さいごの展示室は、睡蓮の絵の推移がわかって、とても興味深くみてきました。最晩年の絵は、気概というか、気迫のような、こちらにむかってくる何かを感じました。6月に展示がすこし変わると聞いた気がしますが、私も予定に入れたいです。
by pistacci (2007-05-29 11:43) 

シェリー

こんにちは~私モネの絵というと、前回のyk2さんの記事みたいな
ほのぼの~したイメージしかなかったんですけど・・・
こんなエピソードもあったのですね。
観たままじゃなくて感じたまま。。。ってなんだか深いですね。
そんな風に生涯情熱を注げるものがあるって羨ましく、凄いことだなぁ
と感じました。私もモネ展いつか観て見たいです。
by シェリー (2007-05-29 12:27) 

yk2

pistacciさん、こんばんは。

>はっきりとした色の違いが分からなくても、うっすらとわかって
>想像で書いていたのかとは、思ってみてました

おお。スルドいですね~。
僕はモネは光や色を感じてこその画家と云う強烈なイメージを以て見ていましたので、それをほぼ全て失った彼がどうやって絵を描いたのかなんて、それこそ全く想像出来ませんでした。口で色を指定して、弟子から筆を手渡しで受けて・・・なんて思い浮かべたりもしましたが。

6月に展示替えが有るのですか?。それは気になりますね。
でも会期は残り1ヶ月。最後の方は半端じゃなく混みそうですものねぇ。
また悩んじゃうなぁ。(^^;
by yk2 (2007-05-29 21:38) 

yk2

シェリーさん、こんばんは。

そうなんですよ~。モネは80過ぎまで現役だったので、その長い間には、当然良い時もあれば巡りの悪い時も当然あったのですよ。

でもね、彼が生きていた当時は普仏戦争や第1次大戦もあったので、たくさんの若者が命を落としているんですよねぇ・・・。画業に専念出来ていた彼は幸せだったのだと思います。
#先週末にそんな映画を1本、じっくり観直していたのでちょっと真面目モード。

モネ展、7月2日で終わっちゃいますよ。シェリーさん、また早く一っ飛びして来なくっちゃね(笑)。
by yk2 (2007-05-29 21:52) 

TaekoLovesParis

yk2さん、モネは、、、、そうだったんですか。
絵の具の色名で作り出した色を記憶の中の風景に置くいていく、モネの頭の中には翻訳機があるような感じですね。目つぶっててもできる、という表現どおりの熟練の職人技。
見えていたときの太鼓橋と見えなくなってからの太鼓橋、2つの写真を比較できるようにおいてくださったので、なるほど~と思ってながめていました。
展覧会の最後の方に展示されていた「しだれ柳」は、ゴッホの狂気につながるような怖い感じすらしました。
by TaekoLovesParis (2007-05-29 22:20) 

yk2

taekoさん、こんばんは。

今回の記事はたまたまTVの番組が僕の疑問にそのまま答えてくれているような内容だったので、自分でそれを忘れないようにブログにまとめておいただけ、なんです。絵もね、番組でこの2枚を使ってこのエピソードを伝えていたので、僕もそのとおりにしてるだけ。本当は僕としては「薔薇の小道」の方が好みなんだけど(^^;。

「しだれ柳」、僕も不気味に感じてました。ゴッホの狂気もなるほど、です。

でも同じような画風の「薔薇の小道が」怖くないのに、柳だけが怖いのは、自分でもなんでだろう?と考えてみました。それって、日本人だから、柳には幽霊が付きものと考えちゃうせいかも・・・(笑)。
by yk2 (2007-05-29 23:15) 

TaekoLovesParis

yk2さん、お返事はやいですね!
<「薔薇の小道が」怖くないのに、柳だけが怖いのは>
→色あいが「薔薇の小道」は底抜けに明るいからでは?オレンジ色が中心
になってる。私には緑のアーチが上のほうに見えるけど。緑のアーチは、モネの庭でのシンボル的存在だったから。
そ~、柳→幽霊って思っちゃう。
by TaekoLovesParis (2007-05-29 23:38) 

newyork

お久しぶりです。「睡蓮の池」の色合い、鳥肌が立ってしまいました。耳が聞こえなくなったベートーヴェン、目が見えなくなったモネ、聞こえないものが聞こえ、見えないものが見えた彼らの感覚、神に通じるものがありますね。
by newyork (2007-05-30 13:50) 

yk2

taekoさん、こんばんは。

昨日のレスが早かったのは、皆さんのコメントへのお返事を書いている途中にてんとうむしさんとtaekoさんのコメントが入ったから、です。その後は寝ちゃいました(^^ゞ。

taekoさんは実際にこの庭に行ってらっしゃるから、また僕なんかとは違った気持ちでこれらの絵を観る事が出来てるんでしょうねぇ、羨ましい。ジヴェルニーとトゥールーズ(ロートレック美術館ね)は死ぬまでにどうしても1度は訪ねたいなぁ~。

>柳→幽霊って思っちゃう。

柳って日本原種?。
モネが日本の幽霊画持ってたから植えたワケじゃないですよね、さすがに???。
by yk2 (2007-05-30 23:55) 

yk2

newyorkさん、こんばんは。

おひさしぶりです。ご訪問ありがとうございます。
やっぱりnewyorkさんは音楽家だから、この手の話はベートーヴェンですね。

>聞こえないものが聞こえ、見えないものが見えた彼らの感覚、
>神に通じるものがありますね

きっとモネは対象を見なくても描けるだけ、それまでに数え切れないほど実際に描いてきただろうし、ベートーヴェンも耳でいちいち拾わなくとも、積んだ修練で頭の中で完璧に音を紡げるレベルにまで到達していたのでしょうね。天才が人並み外れて研鑽したからこそ、神の領域に近付けたんだろうなと僕は思います。その世界の歴史となる人たちはやっぱり凄いですよね。
by yk2 (2007-05-31 00:11) 

pistacci

yk2さん、数点の展示が変わるようなことをどこかで読んだのですが、心配になって、モネ展のHPを調べたのですが、書いてありません。
・・・もし、・・・ちがってたら、ホントにホントにごめんなさいねー_(._.)_
by pistacci (2007-05-31 01:33) 

yk2

pistacciさん、展示替えが無かったとしても別に怒ったりしませんからご心配なく(^^。会場に置いてある作品一覧を持っていれば、きっと何の作品がいつ入れ替わるのか記してあると思うのですが、僕も無くしてしまったみたいで・・・(苦笑)。
by yk2 (2007-06-01 02:26) 

コロコロ

またまた、気になるタイトルをみつけてしまいました(笑)

「見えないモネが描けたわけ」

私もそれが、気になって気になって・・・ 昨年のマルモッタンモネ展を通して調べていました。モネは心の目で見ていた。転じて脳に結ばれる映像を絵にしているのだと思いました。私の仮説は、モネは見えていようがいまいが関係がなく、晩年の作品は、あのような色あいで描いたということであって、実は描こうと思えば、いままで通りにも描けたと思っていました。

モネの白内障について、当時の医学的見地から医師が見るとどう見えるのかと、、芸術家という特殊な立場における視力を考えると、モネの白内障の程度は、どの程度だったのかな・・・ということなども気になりました。

https://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135601/
上記は、私なりにたどりついた結論です。

夏に直島の地中美術館に行って確信しました。下記の睡蓮は
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-53-fd/sakumisato6/folder/752495/97/30421697/img_1?1259479722
(1915~1926年)の作品です。手術は1923年でした。この制作年をどう解釈するかにもよりますが、モネ、ちゃんと描けてるじゃない・・・と(笑)
by コロコロ (2016-10-15 16:02) 

yk2

◆コロコロさま:

お返事遅くなっておりまして申し訳ありません(汗)。

モネと白内障の影響について、ですが僕はここで書いたことで納得してしまい、これ以上掘り下げておりませんので、コロコロさんの方が余程たくさんのことをご存じかと・・・(^^。

ですので、僕が逆にコロコロさんの記事を読ませて頂き、思ったところをお返事に代えさせて頂きたいと考えました。

今回気になったのは、モネが光学的な色彩投影の仕組み、知識をどの程度持っていたのか、実際彼の絵画に反映させていたのか、です。

と云うのも、モネはスーラの科学的な光と色彩の捉え方を好感していなかった・・・と云う以前何かで読んだ記憶が、しっかと頭の中に刷り込まれてしまっているものですから(^^;。

僕が勝手に思って居るところといたしましては、モネ自身は自分の画風が「印象」的であると云われていることを(当初は兎も角)嫌悪していなかったと考えているのです。ですが、スーラからは印象派絵画は「直感的、感覚的」でしかなく、「印象」として、時に曖昧なまま実像(フォルム)を描かない画風を否定されていますよね。

一方、モネの方もスーラの科学的で、悪く云えば全てが静止しているかのような、無味でエモーショナルの足りない(※僕にとってはスーラやシニャック、レイセルベルヘはお気に入りの画家たちです^^;)作風を肯定出来なかった。モネはそもそもドラクロワを好む傾向があったようで、フォルムより色彩を重視する点でロマン主義の系譜にあると僕は考えています。実際、モネはスーラを印象派展のメンバーに加えようと云うピサロの提案に難色、不快感を示しましたよね。

ですから、果たして、モネはその後の画業に於いて、まるでスーラの軍門に降るかの様な色彩の光学的分析を、本当に彼の創作の一助としたのかなぁ~?とは、素直に感ずる僕の疑問点です。

果たして実際のところはどうだったのかなぁ。確かに、色々と書籍を辿って調べてみたくなる、興味深いお話ですよね(^^。
by yk2 (2016-10-26 12:05) 

yk2

モネの白内障の症状・見え具合については、以前何かのTVで一般的に症状が進行してしまった場合の例として検証してましたが、曇りガラスが黄ばんでしまい、じっと目を凝らしてやっと、近くに何かがぼんやり見える、動くのが判る程度だったように記憶しています。

モネの、ではありませんが、同じ時代を生きた彼の同志と云うことで、以下に同じく白内障を患い、長く盲目の恐怖と戦っていたドガの言葉をご紹介しておきますね。僕は、モネもきっとドガに近い思いで、ほとんどのものがまともに見えなかったとしても、画布の上に彼の思ったままに色を塗り続けていたんだろうと想像しています。

「見たものを写すことはとても有意義である。そしてさらにずっと良いのは、もはや記憶の中でしか見ることの出来ないものを描き出すことである。想像力と記憶が共に作用して生ずる変化が重要なのである。感動させられたもの、すなわち本質のみを再現するのだ。そうすることで、記憶と想像力は自然の圧政から逃れることができるのである」

by yk2 (2016-10-26 12:41) 

コロコロ

モネの見え方に関する興味深いお話をありがとうございます。

いろいろ、調べていて感じていたことですが、あることが気になって、自分でこういうことだろう・・・という仮定をしながら調べると、それに都合のよい情報ばかりが拾い上げられてしまうと感じていました。

そのため、yk2さんのお話、興味深く拝見しました。モネはスーラを好感していなかったということは知りませんでしたが、なんとなくわかる気もします。

スーラのことは、よく知らないのですが、モネとスーラの科学の質が違うという印象を持っていました。そのあたりは、うまく説明ができないのですが、モネのとらえていた科学というのは、先端の知見だけで、さわりのような情報によるもの。スーラは、人体の構造、組織や神経、生理なども含め、より突っ込んだ学問的な知識も伴う科学のように感じていたので、個人的には別ものと思っていました。モネが肯定しなかったというのはわかる気がしました。スーラまでいってしまうと、芸術とは違う世界で、技術の世界になってしまうような・・・・・

美術のことを語るのに、美大で基礎を学んだ上で語るのと、そうした基礎を学ばずネットで調べただけだったり、自分の考えに近い都合のよい文献ををひっぱりだして表向きのことを語るのとの違いという感じでしょうか・・・(笑) モネも組織、神経、生理を含む光学的な見識はあるけども、その深さが違うというそんなイメージでしょうか?

そんなふうに思っていたので、yk2さんがおっしゃるように、モネはスーラのような深い色彩の光学的分析を、創作の一助にはしておらず、理論のさわりを利用していたのかなというように私もとらえています。

となると、結局、科学的というのも、どういうことなのか・・・ということになってしまいますが・・・・ 自分だけで知らべて答えを出していると、一方的になりがちですが、いろいろなとらえ方を知ると、偏りも見えてきます。

by コロコロ (2016-10-29 15:13) 

コロコロ

白内障の見え方についても、どんなふうに見えるのかいろいろ調べてみました。人によって見え方はかなり違うようだということがわかり、モネがどう見えていたのかは、結局、伝聞にすぎずモネにしかわからないということなのだと思っていました。そこである医師の見解をみつけ、これだ! と思わされました。

http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ganka/hakunaisyo03.html こちらにあるように、
>ただし、白内障による色の見え方の変化はゆっくり起こるために、画家のような特殊な才能を持った人以外は気づくことが少なく、多くの方は、白内障手術をして青系の光が網膜まで再び到達するようになって初めて、色の違いを感じるのです。

ここに、もしかしたら、モネは必要以上に見え方に対して敏感だったのではないかという仮定の裏付けを見たと思いました。しかしこれもイチ医師の見解にすぎませんし、気づくことが少ない。というのは気づかないわけではないですから、ケースはいろいろということなんですよね。

やはり自分で経験してみないとその見え方はわかりませんし、経験したとしても、モネと同じわけではないですから、いろいろな情報のどの部分をピックアップして、自分の想像を固めるのかということなのかもしれません。

私も白内障眼鏡というのを体験したことがあり、どのように見えるのかは経験があります。しかし病気の進行という徐々に変化していくというその過程も含めつつ、実際に手元が見えていたとい言われることも、それが具体的には、どう見えていたのか。また、今の白内障と当時の白内障のとらえ方は違うでしょうし、やはりモネにしかわからにこと。でも、いろいろな情報を集めて、想像してみることが面白いと思っています。

きっと真のアーティストは、見えようが見えまいが、聞こえようが聞こえまいが、芸術活動はできるということなのだろうと思います。
by コロコロ (2016-10-29 15:32) 

yk2

◆コロコロさん:

今回スーラを引き合いに出したのは、彼こそが確実に光と色の科学を分析的に絵に応用した人物であること、一方モネら印象派の画家たちは、知識の深浅は別にしても色の理論・分割は知っていたのかもしれないし、実際、絵にも利用はしてはいた。けれども、それは色の科学を正確に応用しようとしたものではない。あくまでも画家の主観、個人的な印象による色彩分割だった(まさに理論のさわり程度の利用)、との比較のためです。

色彩分割に関しては、ミシェル・ウジェーヌ・シュヴルールと云うゴブラン織り工場の染色科学技術者が著した『色彩同時対照の法則』(1839)、『色彩論、および色環の利用による産業芸術の応用について』(1864)の2書が当時の画家たちの関心を大いに惹いたそうですが、それをきちんと科学的に応用した初めての画家はスーラやシニャックで、その彼らもフェリックス・フェオネンと云う専門家の協力の下、シェヴルール、ルード、ヘルムホルツらの理論を研究した上で(※ソース:印象派の絵画-美学と技法 / 馬淵明子)、だそうですよ。ちなみに、モネと外光下でイーゼルを並べていたルノワールも「絵画に科学なんて必要ない!」と、やっぱりスーラの流儀を認めていませんね(^^。

>きっと真のアーティストは、見えようが見えまいが、聞こえようが聞こえまいが、芸術活動はできるということなのだろうと思います。

うぅーん・・・。
結局のところは個人個人の執念の差なのだろうとと、僕は思います。
モデルを一切理想化しないで、あくまで正確なデッサンにこだわったカサットが白内障で筆を折った事例もありますしねぇ・・・。
その点はまた、画家の創作スタイル、手法の違いも有りますでしょう。例えばそれは、対象を見ないと描けなかったゴッホと、想像の世界を描くゴーギャンの手法の差を思うと分かりやすいと思います。どちらが優れているなんて事ではなく。

長くなりましたが、最後にもう1つだけ。
僕は研究者ではないので、こう云う話は全て想像することを楽しんでます。答を欲している様で、実は欲してないのかもしれません。結局は、他人様が調べて下さった資料や書籍を参考にするしかないんですから、僕自身では、真実の確かめ様もまるでないんですもの(^^;。
by yk2 (2016-10-30 23:02) 

コロコロ

作品を通して想像することを楽しむ。まさにそれです。私の場合は、人が想像しないような突拍子もないような仮説を立てて、それに関連する情報をみつけて、ほ~ら・・・・って(笑) ただ、それは自分に都合のいいことにしか目が向かず、偏りがでる。そんなとき、別の見方や情報というのは、とても参考になります。でも、結局は自分の考えを、優先することが多かったり・・・

光と色の科学を分析的に用いて作品を作成する。今、ちょうど、夏に直島に行って見てきたジェームズタレルの作品のことを振り返っているのですが、私にとってタレルは、スーラなんです。作品としての魅力よりも、光や人の知覚機能をどう扱ったか、そういう目でしか見れなくなっています。

作品に科学的な知見を持ったものに強く惹かれる傾向があります。ところが、スーラやタレルまで科学によってしまうと、興味はその技術の部分に寄ってしまいます。モネや其一、春草というちょっと科学的要素を含みながら、作品にしている人が好きです。

目を患っても活動を続けるかは、執念というのは、なるほど~と思いました。これからもいろいろな想像をするための材料、私が目にできていないものがいろいろありそうなので参考にさせてください。

ちなみに、デッサン力があると言われているカサット。本当に上手なのかなぁ・・・・というのが、私の推察です。最初はわざと下手に描いているのかと思ったら、デッサンを習っている友人も、自分の下手さは置いておいて、カサットは下手だと言っていました。いろいろ資料を見ていて、カサットの画力に疑問を投げかけている海外の画家を目にするとガッツボーズをして楽しんでいます。(笑)
by コロコロ (2016-11-01 20:24) 

yk2

過去の人々の心情や意図は、手記や手紙が無ければ想像や推量する以外に辿る術がありませんが、探る物が科学であるなら、それは絵の中からもきっと見つけられるものが何かしら有ることでしょう。モネがいつから感覚的色彩分割を止め、光学的な色彩分割を行う様になったか、モネの数多有る作品の中に、いつからか色の配置に科学を根拠とするだろう変化があったか否かを検証すれば、答は明らかになるでしょうね。コロコロさんのご興味は、想像だけで終わらせず、答が導ける疑問点だと思います。頑張ってみて下さい。ですが、申し訳ありませんが、僕は↑に書きましたルノワールと同じ考えを持っていますので、この話題はこの辺りで幕引きとさせて頂きます。あしからずご容赦下さい。数度にわたり興味深いお話をお寄せ頂き、ありがとうございました。
by yk2 (2016-11-01 23:21) 

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