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時は移ろい [そとごはん、そとワイン]

4月11日(金曜)

 年内にごはんを食べに行こうね、などと昨年中から話しておきながら、なんだかんだと先延ばしになっていた友人との食事の約束。決して忘れてたわけじゃないんだけど、先日ついにしびれが切れたか「もう4月だよ、あのハナシは一体どうなってる~?」と催促されて(=叱られて[雷]、とも云う・・・^^ゞ)しまった。

 へいへい、すんませ~ん、うっかりしてました[あせあせ(飛び散る汗)]
 じゃ、今度の週末にでも早速[ダッシュ(走り出すさま)]、ってことで、どこに何を食べに行こうかなと考える。

 そういや、ここのところ随分あのイタリアンのお店にも行ってないなぁ。

 久し振りに出掛けてみようかと、選んだのは、東急某線のO駅から徒歩3分くらい、以前にもblogに書いた事のある、「V」(※イニシャルです)と云う客席18有るか無いかの小さなリストランテ。

01アミューズ.JPG

 アミューズに出て来たのは、スプーンにひとくちのごはん。空豆1粒、ブラックペッパーとオリーヴ・オイルでライス・サラダ風に食べさせるのかと思いきや、お馴染みのジャポニカ米を至って普通の炊き方で(それもやや柔らかめ)。イタリアンを食べに来て、最初に口に入れるものとして、たったひとくちとは云え、これはどうなんだろう?。素材の組み合わせは兎も角、あまり「らしくない」かなぁ。


02スプマンテ.JPG Foss Marai.jpg

  この日飲んだスプマンテは、イタリアらしいスタイリッシュなボトルのプロセッコ・スプマンテ・フォス・マライ BRUT。色は淡い金色ですがすがしい香気。酸味も程良く、微かにナッツを感じる。泡も結構元気で申し分なし。普及品レベルのシャンパーニュと比較しても何等味に劣るところなく、バランスの良い、なかなかに美味しい辛口だった。

 小さいお店はこの日、ほぼ全席が埋まっていた。隣の席との間隔は人が1人通るには問題は何も無いけれど、ワイン・クーラーを置くと動けなくなってしまう。そのため、僕らのスプマンテはちょっと席から離れた場所のクーラーに入れられていて、若いサーヴィス担当くんがその都度グラスに注いでくれていた。残り1/3くらいになった頃、後はそんなに冷やさず味を見たいので、クーラーに戻さずにテーブルに置いていってくれて結構です、と云ったんだけど、サーヴィスくんはこちらの意図を理解してくれなかったのか、テーブルが狭いから邪魔だろうと考えたのか、「はい、後は冷やさずに、でございますね」と云ったかと思うと、クルリと背を向けボトルをまた持ち帰って行ってしまった。ありゃりゃ、写真も撮りたかったんだってば~(苦笑)。


03春野菜いろいろ.JPG

 前菜は若竹の子の生ハム巻き、菜の花など春の野菜いろいろ。以前はオーナー・シェフが鎌倉で野菜を買い付けていたお店だけど、今は現在のシェフの実家でおばあちゃんが丹誠込めて作っておられる野菜を材料としているんだそう。ありがたく頂戴しました。左端に見える小さなガラスのカップに入っていたのは、ドレッシングとかじゃなくって甲州種の甘口ワイン。


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 空豆(・・・だったかな^^;)のカプチーノ仕立て。

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 以前は名前を聞いたこともない様なパスタがメニューに載っていて、それをオーダーしてみるのが楽しみだったんだけど、この日はそう云った類の凝ったものは無し。僕は定番のアサリとフレッシュトマトのスパゲティ。同行の友人はポルチーニ入りのミート・ラグーが入ったラビオリを。


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◆Bruni Prestigio 2005 / トスカーナ州 ブルーニ社

 この日の赤ワインはこれ。早めに栓を抜いて貰ってあったので、1時間くらい空気に触れた状態で目の前に。本当は開けてすぐティスティングさせて欲しかったんだけど、若いサーヴィス担当くんは気を回してくれず仕舞いだった。云えば済むことなんだけどさ・・・(苦笑)。

 色はやや濃いめのすみれ色。サンジョヴェーゼ85%+カベルネ15%のIGTで、華やかな赤い果実の爽やかな香りを放つ一方で、樽由来の落ち着きも感じさせ、なんとも繊細で芳しい。友人もグラスに鼻を近付けた途端、「い~匂い!」と一言。味わいはサンジョヴェーゼらしい酸味を効かせつつ、追いかける様にカベルネのタンニンも顔を出しまろやかな喉越し。とても良いバランスの辛口。あまり見掛けない銘柄だけど、価格は店値で6000円ほどだったので、かなりコスト・パフォーマンスの良いワインと云って差し支えないだろう。このごろの僕は、以前にも増してサンジョヴェーゼが好きになって来たみたいで、この味にはかなり満足。


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 僕のメインは、この店に来ると頼みたい定番料理、牛いちぼ肉のタリアータ。

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 友人はサービス担当くんが「イチオシです!」と盛んに奨めた大アサリ。僕ら二人ともレストランで“大アサリ”なんて見たことも聞いたことも無いので、どんなのが供されるか興味津々。が、・・・やって来たアサリは、どう見てもちょっと大きめなハマグリ(苦笑)。味を見させて貰ったけど、調理法も至ってシンプルで、ボンゴレを食べた身には新鮮味が全く無く、セレクト失敗だったかも・・・。

09イチゴのマリネとキャベツのジェラート.JPG

 以前来た時もアスパラのソルベなんてデザートだったけど、今回はなんとキャベツのジェラート。野菜を使ったデザートは結構トレンドのようではあるけど、キャベツ独特の風味と繊維っぽさが微妙に残ったジェラートは不思議な味わい(^^;。

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 友人は甘い金柑を周りにあしらったフォンダン・ショコラをオーダー。ナイフを入れるととろ~り、と云うのを想像してたみたいだけど、普通にチョコレート・ケーキみたいであれれ?。味は悪くなかったみたいだけど(苦笑)。





 僕にも、以前は今よりず~っと好奇心ってヤツがたくさん有ったので、いろんなレストランに行ってみたくって、創刊号から読んでいたdanchuなんぞのページに載せられていたお店を、ああ、ここ美味しそうだな、こっちもいいかな~なんて具合に、それこそ生唾ゴクゴク飲み込みながらチェックしていた時代があった。

 しかし、雑誌やメディアで紹介されていたお店も、実際に訪れてみるとそれ程の事でもなかった、僕の好みとは違ったなぁ、なんて思わされることも概して少なくなく、いつの頃からか、そんな開拓心も次第に薄れて、この街でイタリアンならあそこの店、お酒の品揃えが良い和食はこっち、落ち着けるフレンチだったら・・・と云う具合に、用途に合わせて決まったお店に通うことが多くなって行った。

 この日出掛けることに決めたお店は、実はその昔に雑誌でお店をチェックしていた頃に知ったお店。1年に1回くらいしか出掛けないけれど、自分の中では結構ポイントの高いイタリアンだった。僕と同世代のオーナー・シェフがイタリア修行を経て独立して出したお店で、余所では見たこともないような面白い形のパスタが使われていたり、ジビエがまだそんなに一般に知られていない頃でも、その季節にはシカやイノシシなどが用意されたりと、現地イタリアに拘ったその料理は、その頃に僕の知っている内ではかなり異彩を放つものだったから。

 もっと評判になっても良かった店だと思っていたけど、やっぱり静かな住宅街と云う、隠れ家みたいな場所が影響してしまったのかな。どうやら、そのオーナー氏がお店を離れてしまったようなのだ。

 お店のある場所も、名前も構えも変わらない。味も悪くないし、今のシェフの手作り感のあるアット・ホームな雰囲気も好感が持てる。

 それでも、以前に僕が気に入っていた店とは、もう違うのだと考えた方が良いのかも知れない。

 よくよく考えれば、初めてこの店に来たのはもう10年近くも前のこと。それだけの時間が過ぎれば仕方の無い事とは云え、お気に入りの店がまた1つ消えてしまったようで、少し、悲しい。



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