チンタセネーゼの生ハムを食してみた [そとごはん、そとワイン]
ちょっとピンボケ気味の写真でごめんなさい(^^ゞ。
これ、なーんだ?。
誰ですか~?、ラクダの足だなんて云ってるのは(ーー)。
この角度で見ればすぐにお判りですね。
そう。ブタのモモ肉、生ハムです。
なーんだ、ハモン・イベリコ?、今さら珍しくもないじゃない、などと仰る事なかれ。
またまたボケた写真で申し訳ありません(><)。
これはイベリコ産ではなく「Terra di Siena」。イタリアはトスカーナ州のシエナ県産の豚、それもチンタセネーゼと呼ばれる稀少な黒豚から作られた生ハムなのです。
普通の白豚が約半年、およそ180日の飼育期間で出荷されるのに対して、チンタセネーゼは最低でも1年半以上、更には3年以上手塩に掛けて肥育させてからでないと出荷しない生産農家もあるのだとか。元よりとても手間も時間も掛かって生産効率が悪く、そのサイズも小振りなため、一時はほとんど飼育されなくなってしまった品種なんですって。
スローフードが提唱されるようになり、再び食肉として生産されるようになったとは云え、その流通量はごく僅か。イタリア国内でも幻の豚と呼ばれているそうなんです。そして、生ハムに利用が許される部位は腿肉だけ!と云うこだわりよう。そうと聞かされたら、これを食べない訳にはいきません。
見た目はハモン・イベリコととてもよく似ていますね。イタリアで一番有名なパルマの生ハムのしっとりとした質感とはまた違っています。
首に白い筋模様の入ったこの黒豚は自然の中で放牧されて育ちます。餌となるのは森のキノコやドングリなどごくごくオーガニックな物ばかり(※それらの餌が減る冬には穀物類を与える生産者もあるそうです)。イベリコ物のベリョータ同様、その脂身にはオレイン酸やビタミンB、Eなど抗酸化物質をたっぷりと含み 悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる働きがあるなど良い事づくめ。これなら幾ら食べても大丈夫!・・・と云いたいところですが、やはり手間費掛かった貴重な食材。残念ながら、お値段だけはちと可愛くないのです(苦笑・・・^^;)。
そんな手に入りにくい生ハムが食べられると聞いて、喜び勇んで出掛けたのはいつものLe Chapon。
僕にはちょっと分不相応な生ハム(笑)ですが、この日は僕ともう1人、7月生まれの友人の一月遅れの誕生会。このくらいの贅沢は許して貰えるでしょ?(^^v。
◆Jean Vesselle NV / ジャン・ヴェッセル ブリュット ウイユ・ドゥ・ペルドリ
チンタセネーゼに合わせたのは、この日初めて飲むブジィー村のRMシャンパーニュの生産者、ジャン・ヴェッセル。このキュヴェ、ウイユ・ドゥ・ペルドリとは「ヤマウズラの目」と云う意味で、エチケットにもウズラの絵が描かれています。ワイン屋さんのサイトによると、ウズラはフランスでは幸せを運ぶ鳥とされているそうで、縁起が良いんだって。誕生日の乾杯用にはピッタリ?。
グラスに注ぐとかなり濃い色合い。以前飲んだアイ村のガティノワを思い出す、まるでロゼとブランの中間色のような、ピンクがかった黄金色をしています。セパージュはピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール。
味の方もかなりコクがあるよ~と先に試した友人から予め聞いていたのですが、確かにこれは味が濃かったです。飲んだ感想としては、これはもう普通のシャンパーニュとはちょっと別物の感じすらします。シャンパーニュ特有の“繊細な泡”と云うイメージで飲むと違っちゃうかもしれません。これは決して悪い意味で書くのではありませんが、これはもうシードルを飲んでる感覚に近いかも。タンニンと云うか、ポリフェノールを感じるシャンパーニュ(笑)。
ただ、このキュヴェに合わせたチンタセネーゼの生ハムも、これに負けずに味わいの濃い食材。例えば、ハモン・イベリコのベリョータはナッツィーな脂身の旨さが抜きん出たタイプのハムだと思うのですが、一方のチンタセネーゼはバランス型。脂身ももちろん美味しいのですが、赤身の部分に鉄分を感じさせるなど、締まったお肉の旨さを感じさせるハムなのです。つまりは、本来なら赤ワインに合わせるのがごく当たり前の“お肉”なんですね。
ですから、ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールであるウイユ・ドゥ・ペルドリは、その味わいの濃さ故にチンタセネーゼと合わせても負けない力強さを持ったシャンパーニュだったと云う分けなのです。
◆Rene Jolly BnB / ルネ・ジョリィ ブラン・ド・ブラン
それがそうと分かったのは、次にもう1本のシャンパーニュ、ルネ・ジョリィのブラン・ド・ブランを飲んでから。そもそも、これはオマールのグリルに合わせて栓を抜いたもの。
ルネ・ジョリィは僕がシャンパーニュにはまるきっかけをくれた大好きな造り手。事ある毎に飲んでいるので、僕が一番親しみを持っている味なのです。
ですが、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランにチンタセネーゼは相性が良いとは云えません。クリーミーで繊細な泡はオマールにはバッチリ相性好くても、この特徴有る生ハムには少々分が悪かったみたいです。
いや、そもそも、この生ハムに合うシャンパーニュが特異なのかも(^^;。
と云うのも、ジャン・ヴェッセルにウズラの絵があったのでそう思いついたのかも知れませんが、ウイユ・ドゥ・ペルドリと云うのは、ジビエに合わせてもいけちゃうかと思わせるくらいに変わったキャラクターを持つ味わいのシャンパーニュの様にも思えてしまったのです。しかしそれは反対に、白身魚のカルパッチョやホタテなど、淡泊な味わいのものには鈍重で野暮ったく思えて、どうも合いそうもないのでは?とまで思わせてしまうもの。
そう云う点で、今までに飲んだ事のあるブラン・ド・ノワールのシャンパーニュたち、セルジュ・マチュー、ルネ・ジョリィやガティノワ(ピノ90%)などと較べても、このキュヴェはやっぱりちょっと異質です。積極的にこればかり飲みたいかと問われれば、僕の答はNoですが、ハマれば結構クセになるタイプのシャンパーニュとも云えるかもしれません。
ま、1つ断言して良さそうなのは、これがアペリティフに似合うタイプのシャンパーニュではない、ってコトでしょうかね(^^;。
いつか、本当にウズラに合わせてみようかな(笑)。