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柴田是真の漆×絵@三井記念美術館 [ART]

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 昨年の11月に横浜美術館で観た大開港展で、その作品と僕とが初めて出会った明治の漆芸家であり絵師でもある柴田是真の作品を一同に集めた展覧会が、東京日本橋の三井記念美術館で今度の日曜日(2月7日)まで開催されている。
 この展覧会は、主にアメリカ・テキサス在住のコレクター、エドソン夫妻が1980年代より一点一点時間を掛けて蒐集して来た全71点もの貴重な漆芸品や絵画を中心に構成されていて、それらは日本よりもアメリカやヨーロッパに於いてより高い評価を受け、アメリカ各地の美術館を巡回するような規模の展覧会が開催出来る程にも充実したコレクションなのだとか。今回はそれらがまとまって里帰りを果たす大変貴重な機会と云えるだろう。

 我々大多数の日本人が近代化=西洋化の名のもとに、すっかりその名を忘れてしまっている、見落としてしまっている伝統工芸の匠、芸術家たち。その中の一人である是真をエドソン夫妻が見出した切っ掛けは、彼等が常に干魃に脅かされる程に乾燥した気候の地、テキサスに住まっているからとの理由で手に入れた1枚の滝の絵からだった。 それからと云うもの、彼等は是真に的を絞った蒐集に夢中になっていく。一体、是真の何がこれ程までに夫妻を惹き付けたのだろうか?。




 先ず初めに、柴田是真とは如何なる人物だったのだろうか?、今回の展覧会図録(写真下)に寄稿されている板橋区立美術館館長、安村敏信さんの文章から引用、要約してご紹介しよう。

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 柴田是真は1807(文化四)年、江戸両国で生まれた。幼名は亀太郎。
 その父・市五郎は元は宮大工の子だったが、煙草入れを商う柴田家へ養子に入った。後に彫工となる市五郎だが絵も好み、葛飾北斎(1760-1849)の師匠でもあった2代目勝川春章(1726-93)に付いて浮世絵を学んだ事もあったと云う。
 そんな父の元にあって、是真は齢11にして蒔絵師・古満寛哉(こま・かんさい)に入門し、蒔絵を学び始める。師匠の寛哉は、江戸琳派の創始者・酒井抱一の下絵を作品にするなどして華美な作風で知られた原羊遊斎(はら・ようゆうさい)と並び称される蒔絵師であり、その精巧な細工には定評が有った。
 5年ほど寛哉に付き修行した是真だが、やがて他人の描いた下絵を蒔絵にする作業に不満を覚える様になり、16歳の頃に四条派の絵師、鈴木南嶺に入門する事となる。是真は「令哉」と云う号を使ったが、令は南嶺の字の一部、哉は寛哉の一字と、絵画と蒔絵の二人の師匠からそれぞれ採ったものであった。
 是真は早くからその画才を現した。その事に関し、興味深いエピソードが1つ伝えられている。18歳の頃の事、彼の描いた扇絵を見た浮世絵師の歌川国芳がその見事さに感服し、10歳程も年長で在ったにも拘わらず、是真に弟子入りを願ったのだと云う。
 蒔絵師としての是真は、20歳前後に寛哉より独立を果たした様だが、絵画の修行は引き続き継続し、24歳の頃には京都へ遊学。南嶺の紹介を得て四条派の岡本豊彦に師事する。この同門には四条派の後継者となる塩川文麟がおり、後に是真と同じく帝室技芸員となる幸野楳嶺は文麟の弟子である。また、この京都滞在中、是真は絵画以外にも様々な分野で交流を深め、歌学、茶、俳諧を学んだ。
 その後、京都から長崎へ遊学しようと出発するものの、途中目指した讃岐の金比羅への船中で熱病を発症し断念。京都へ戻り、程なく江戸へ帰った。27歳になっていた是真は、師匠の南嶺に京都修行の成果として画業の進歩を認められ、この時に「儃然(たんぜん)」と云う字(あざな)と「是真」の号を与えられた。


 ※上記に付けられているリンクは全てWikipediaのそれぞれのページを別ウインドウで開きます。また、Wikiの是真のページに書かれている略歴が、ほぼ安村さんの書かれている文章とほぼ同じ要旨と流れで記述されている様ですが、Wiki側(こちらはあくまで無記名です)の参考文献の中には安村さんが監修されている<「別冊太陽」~日本のこころ163>が記載されていますので、一応ご参考までに。

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柴田 是真

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/11
  • メディア: 大型本


★ ★


 ここまで、亀太郎が蒔絵修行を始めてから、やがて絵師の是真となるまでを引用して記してみたが、読んでお判り頂ける様に、若き日の是真は、蒔絵師としてよりも先ず絵師として周囲に認められて行く。漆物はなかなか売れてくれずに、若い頃は随分と苦労したんだそうだ。
(※因みに、是真が絵師として世間一般に認められるのは、天保11=1840年に羅生門をモティーフとして「額面著色鬼女図」を描き王子稲荷神社に奉納した絵馬が評判となってからと考えられている。当時34歳だった。)

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◆『猫図』 エドソン・コレクション

 是真の学んだ四条派は、松村呉春(1752-1811)を祖として始まる画派で、その呉春はそもそもは与謝蕪村に付いて俳諧と詩情に溢れる文人画を学んだ。やがて呉春は円山応挙と交流すると、その技法に大きく影響され、応挙の流儀である写実性を取り入れて、後に四条派と呼ばれる様になる画風を形成する。つまりは是真の画風にも、当然に応挙の画風は影響を与えているのだ。

 そんな予備知識を事前に仕入れて行ったものだから、僕にはこのユニークな表情をした猫の親子がどことなく応挙風に思えて興味深かった。それは多分、去年の秋に「皇室の名宝」展で観た応挙の『旭日猛虎図』が深く印象に残っていたせいもあるだろう。あの絵の虎も、忘れがたい眼差しの描写で、随分ユニークな表情をして描かれていた。加えて、年末にそれを今年の年賀状に使えないだろうかと、繰り返し繰り返し図録で眺めていたせいもあるんだろうけどネ(^^ゞ。


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◆『白蓮図』 エドソン・コレクション

 写実性と云う意味では、この白蓮図は今回の展覧会中、際立って見えた。間違いなく西洋画の影響を取り入れて描かれたのだろうシャープな線。近代的な観察眼に依って描かれたこの蓮は、植物学的にもおそらく正確なものなのだろう。その点でこの図は僕にとって鈴木其一の植物画と同じ感覚で眺められた。でも、この絵の前でなんだか急にジュンサイが食べたくなっちゃったのはここだけのハナシ(^^ゞ。


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◆左、『瀑布に小雀図』 エドソン・コレクション
◆中、右、『瀑布に鷹図』 エドソン・コレクション

 其一と同じ感覚は、こちらの『瀑布に小雀図』にも。この絵は描表装(かきびょうそう)と呼ばれる手法で、通常は織物が用いられる表装部分も手描きされている。この手法は其一も得意としていたものだ。

 小さくて判り辛いとは思うが、岩に止まった小さな雀が一羽、滝を真っ逆さまに眺めている図で、表装部である背景は水色や緑が着色されているのに対して、本体は墨絵風に描かれ色彩が抑制されている。その事により、画面中央部分だけ、まるで時が一瞬止められてしまったかの様にも思えて来るから不思議だ。水の表現に関しては、本来ほとんど何も描かれていない画面の筈なのに、間違いなく流れ落ちる滝として感じられると云うのは、きっと、この静と動の対比の効果が効いてるからなんだろうなぁ。滝は勢いよく落ちるけど、その後の水面は何事もなかったかの様に限りなく穏やかで静かだ。

 また、右隣の『瀑布に鷹図』の方は、本来滝の水には映りっこないだろう自らの姿に、真正面から見入る鷹の姿を描いた作品で、この辺りは是真のユーモアと解して良いのだろう、一種の騙し絵的な手法が採られていて面白い。

 先にも書いたとおり、エドソン夫妻は是真の描いたこれらの滝に心惹かれて、その作品の虜になっていったと云う。それは、初めはただ単に乾燥した気候の中に暮らす夫妻が目に潤いを求めてのことだったのかもしれない。けれど、やがて是真の描くこれらのユニークな視点や表現に気づき、興味を覚え、結果として是真の人柄そのものに関心を移していった。その末に在るのが、このコレクションなのだね。日本美術を愛するエドソン夫妻の、蒐集家としてのスタンスがこれらの絵から滲み伝わって来る様ではないか。

 夫妻はこう述べている。
 「是真という人物の中に、私たちが時間をかけて超えていきたくなる人間性を発見したのです。彼の卓抜した技能に感動させられるだけではなく、彼の遊びごころや気紛れに楽しまされ、さらには彼の自然を愛する心にも動かされたのです。」


★ ★ ★


 さて、ここまでは四条派の画家・柴田是真の絵を並べてみたわけだが、以下では蒔絵師、漆工としての是真の作品を見ていきたい。琳派の絵師、光琳や抱一の作も下絵が提供されて蒔絵が制作されてはいるが、彼等はこの分野ではあくまでデザイナーやプロデューサー。対する是真の作は全てが自分の意匠で自分の作。絵と漆工の双方に於いて卓抜した是真の技術と才能には、心底惚れ惚れするばかりだった。

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◆『宝尽文料紙箱』 エドソン・コレクション

 細かな青い螺鈿がまるで宝石のごとく美しい料紙箱。蓋面、蓋裏、箱表の四面全てに蒔絵が施され、それぞれが上蓋と本体とで絵柄がピタリと1つに合わさる様、大変凝った意匠が採用されている。


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◆『柳に水車文重箱』 エドソン・コレクション

 本展のチラシ(ページ・トップ)にも写真が採用されている、大変に美しい蒔絵の五段重箱。カタログに寄せられているエドソン夫妻の挨拶文の中でも、コレクションの中でもごく初期に購入された品で、是真が持てる技術の全てを注ぎ込んだであろう極めつけの逸品だ、と紹介されている。ここで川の流れを表現する為に採用されている細かい水模様は、是真が依頼されて途絶えていた技術を復興させた青海波塗(せいがいはぬり)といい、乾く前の漆に櫛ベラで模様を描いて行く。勿論、フリーハンドでやり直しの利かない一発勝負だ。こんなリスクの大きな技法を得意の手法に昇華させる是真の技術とは、いやはや感服します、ただただ参りましたと云うより外無い。


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◆『花文菓子器』 エドソン・コレクション

 つるんとまん丸で、光沢のある滑らかな漆の肌を、思わず両手でそっと包み込みたくなる様な菓子器は実は瓢箪製。梅らしき花の5枚の花弁にはそれぞれ違った手法で蒔絵や金細工、細かな螺鈿が施されている。なんとも趣味の好い菓子器だなぁ~とうっとり見とれてしまった。これには、一体どんなお菓子を入れたら良いのだろうね。果物かなぁ。それともお煎餅に使うには、少々贅沢過ぎる?(笑)。


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◆『流水蝙蝠角盆』

 こんなにも蝙蝠がラブリーなのはなぜ?、と同行の友人と思わず笑い合ってしまった角盆。現代の我々にとってコウモリはあまり印象が好い動物とは思われないけれど、作品に添えられた解説を読めば「ほ~ぅ、成る程」。江戸時代の人々にとっては、蝙蝠の“蝠”の文字が“福”に通じる好ましいモティーフだったのだとか。コウモリは吉祥紋様だったのだ。ねぇ、それじゃ、昭和初期の紙芝居から生まれた正義のヒーロー・黄金バットって、同じ発想から生み出されたのかも知れないね~(根拠全く無いんですけど・・・^^ゞ)。


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◆『瀬戸の意茶入』

 是真は描表装や騙し絵的なアプローチも見せる、とは上でも書いたが、頑固謹厳で在りながらも茶目っ気も持ち合わせた人だったらしい。ちょっとした“いたずら”をして、人を驚かせるのがお楽しみだったようだ。この茶入れもそんな是真の遊び心に溢れた作品。この写真では、何だか木製の様にも思えてしまうが、実際に目の当たりにすると、これが全く陶製としか思えない景色。しかし、茶席で亭主からこれを手渡された客人は、思わぬその軽さに誰でも吃驚感嘆の声を上げる筋書き。この陶製肩衝茶入、実は竹で形作られた胎に漆を何度も塗り重ねて、釉薬の垂れる様まで模倣した「だまし漆器」なのだ。その重さ、僅か42gなんだって(^^;。


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◆『砂張塗盆』

 砂張(さはり)と云うのは、銅や錫、鉛などを含ませた合金のことで、金細工で茶器や仏具などに用いられる素材だそうだが、蒔絵に於ける「砂張塗」は、それを擬した塗りのこと。そう。これも金属の盆の様で、実はそれを模した「だまし漆器」なのだ。こちらは紙の器胎に黄色顔料と炭粉、錫粉などを施し、少し波打つ盆の縁など金属風をリアルに再現してある。図録に依ると、やはりこちらも茶会でお菓子を渡されて・・・と云うところで是真がいたずらを仕掛けている次第。なんとも愉快な人だ(^^。


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◆『紫檀塗香合』(部分)

 こちらは一見、まるで「だまし漆器」ではない様に見えるけれど、やっぱり洒落の効いたフェイクが二重に入れられているのが面白い香合(こうごう)だ。因みに、茶道に於いては湯を沸かす際、炉で火を焚くための香を入れるそうで、香合とはその香を入れておく為の蓋付き容器の事だそうな。

 で、当時高級輸入木材だった紫檀(したん : 家具や楽器などの材料として利用されるローズ・ウッドのこと)があしらわれた美しいこの香合、残念ながら蓋裏から側面にかけて干割れが生じてしまったため、木と金属の鎹(かすがい)を打って補修している・・・との解説が展示作品横に添えられているのですっかり信用して読み進めていったら、「・・・といいたいところだがこれも“だまし漆器”」と、解説文にも騙されてしまった(苦笑)。なんと、まるで紫檀そのものに思えて疑わなかった生地は“紫檀塗”と云う技法によるフェイクで、一旦綺麗に塗り上げた漆面に細かく小刀で彫りを入れて、わざわざそれらしく仕上げて行くんだとか。で、もう1つのフェイクは干割れ部分。これも、それらしく見えて「塗り」で擬したもの。鎹も木製、鉄製共にフェイクで、鉄さびの具合までリアルに仕上げてある。要は、鎹を打って補修してまで使う名品だと我々を勘違いさせてやろうと云う仕掛け。ここまで来ると、さすがに是真も人が悪いよね(笑)。


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◆『啄木鳥図漆絵』(部分)

 この展覧会に於いて唯一残念だったのは、作品の制作年が記されていなかったこと。観ていて、いったい幾つくらいの頃の作なんだろう?と思った時に、全く解らないのは随分もどかしいものだ。作品に是真自身が何才での作と入れてある物も有るのだが、実際はっきりした記録が残っていないのだろうか?、カタログにも記載がほとんど無い。これは、作品を時系列で俯瞰出来ないので不便だなぁ。

 この漆で描かれた啄木図は、間違いなく蒔絵師として成功してからの作品なのだろうけど、是真は幾つくらいの年齢から紙に漆で絵を描こうと思ったのだろう?。それを始めた経緯に興味が湧く。
 作品は四条派の画家の写実性を活かしつつ、モダンな西洋画の味わいも併せ持っている。漆の色合いは、油絵の代替と云うよりはアクリル絵の具のような鮮やかさで、独特の風合いがするもの。また、木肌は漆の特性を使って立体感を出すだまし絵と同様の手法を用い、リアルさが巧みに表現されていた。


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◆『花瓶梅図漆絵』 板橋区立美術館

 こちらはまたもや紫檀に描かれた蒔絵のように思えてしまうけど、それはやっぱり是真の思うつぼ(苦笑)。今度はなんと、額まで含めて和紙に紫檀塗を施してしまった“だまし漆絵”。本物の紫檀はかなり重量のある木材だそうだけど、この絵は紙が貼られた裏板も合わせて、作品全体で僅か450gしかないとのこと。それは例えて云えば、発泡スチロールのボード並にしか思えない軽さなんだって。

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◆『五位鷺に水葵図杉戸』 三の丸尚蔵館

 三の丸尚蔵館の持ち物だってことは、当然、皇室に納めた品物だってこと。
 明治18=1885年、皇居新宮殿の杉戸揮ごうの画工として是真は選出され、明治天皇が日常を暮らす常御殿の杉戸絵を任されることとなったそうで、この絵がまさにその杉戸。この様な仕事は、明治の日本画界でも重鎮と目される画家のみが与えられる大変な栄誉で、是真が在った画家としての地位、名声を如実に物語っている。

 明治23=1890年に帝室技芸員制度が設置されると同時に、その一員に任命された是真ではあるが、実は初めから天皇家や宮内省からの栄誉を無条件に受け入れていた分けではない。なんと、畏れ多くも明治天皇が西海道御巡幸の際に使われる鞭の柄に菊花蒔絵を施す様にと要請されたのに、維新前には幕府の御用も受けていた身だからと、あっさり断ってしまったのだとか。「自分は公方様(徳川家)のご治世に人と成ったもので、言わばそれを倒した朝廷方の仕事をするのは気が済まない」とバッサリ(^^;。まぁ、なんとも気骨のある江戸っ子だったことねぇ(笑)。

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TaekoLovesParis

私も、この展覧会は、息をのんで、目をこらして見てしまうものが多かったです。
そんなに素晴らしかったのに、図録を買わなかったから、ここで、たくさんの
選り抜きの綺麗な作品写真が見れて、うれしかったです。
紫檀塗香合のひび割れの筋は、実物ではよく見えなかったから、この写真で
、干し割れって、改めてわかりました。

「柳に水車文重箱」は、格調高く、美しかったですね~。光線によって変わる青海波塗りの模様、丁寧に描かれた柳の木、春の花と秋の花、女郎花に桔梗の青、すばらしいの一言。

ここで、yk2さんが紹介してくださってるように、是真は、人を驚かせるのが、
好きだったんでしょうね。竹素材の「茶入れ」、ひょうたんでできた菓子器、
砂張塗盆などは、拍子抜けする軽さで、きっとお茶席で大いに話題になったことでしょう。

とにかく、デザインがしゃれてますね。赤いやかんの絵など、今にも通じる
イラストのようだと思いました。角盆の「お花つきのラブリーコウモリ」部分を
プリントしたTシャツ、おみやげコーナーで売ってましたよ。

「白蓮図」、私は端正な美しさ、きっぱりした潔さを感じました。どの絵にも、
余分なものがない。
「猫図」は親子の猫の視線が正反対のおもしろさ、動きを感じる絵ですね。
「瀑布に小雀図」も水に映る自分?を見る親鳥と子供の鳥の対比がほほえましかったです。
「五位鷺」の杉戸は、熟練の技。鳥の視線が気になる絵が多かったです。
見てて飽きないものが多いですね~。

エドソンコレクション、素人なのにすばらしいと思ったら、住んでいるテキサス州サン・アントニオの美術館の学芸員に、選定を頼んでいたんですって。
漆表現の可能性を追求し続けた、洒脱な江戸っ子職人、柴田是真展、日本橋・
越後屋の地、三井記念美術館という会場はぴったりでしたね。
by TaekoLovesParis (2010-02-06 18:42) 

pace

漆器の類は全くの不得手で・・・・
でも瀬戸の意茶入は良いですね〜
茶器は見た目と重さのギャップも見所ですからね
銀の軽そうな文様の樲の重いこと(笑)
by pace (2010-02-06 23:30) 

mami

はじめまして。
私も先日この展覧会観てきました。
素晴らしい作品ばかりで、その上洒落っ気があって楽しくて、見応えがありましたね。

by mami (2010-02-07 00:17) 

バニラ

すてき~
文箱と重箱の美しさと重厚さには圧倒されてしまいました。
花文菓子器はぽってりとしてかわいいですね。
by バニラ (2010-02-07 18:36) 

aranjues

ほれぼれするような見事さですね。
それにしてもすばらしい日本のカルチャーを日本人ではなく、
アメリカ人が惚れ込みコレクションされてることをすごく残念に思います。

by aranjues (2010-02-07 21:00) 

plot

ご無沙汰です。
明日からフィレンツェなんですが、その前に日本の美意識に触れられて嬉しいです。
by plot (2010-02-07 21:04) 

pistacci

先日の鑑定団につづいて、この展覧会。いままで興味のなかった工芸分野があっという間に身近になりました。そういえば、宮川香山もyk2さんの記事で覚えたんだっけ・・。ありがとうございます。ペコリ。
ほんとは、最終日の今日行ってからコメントしようと思ったけど、行けませんでした。
(最近のおでかけつづきで、体力消耗↓)
せっかくたくさんのコレクションが見られるチャンスだったのに、残念!
そのかわり、今日は北斎とその娘の番組がなかなかおもしろかったですよ~。
by pistacci (2010-02-07 23:54) 

Inatimy

同じ思考回路だったことに軽いショック(笑)。 ジュンサイ食べた~い・・・蓮の実の月餅もいいなぁ・・・重箱に入ってたお料理は・・・菓子器には・・・なんて思って見てたのでした・・・。 そして、コウモリの角盆のところでは、大好きな長崎のカステラの福砂屋もコウモリのマークだったっけ・・・と。
図録の表紙がなんともおしゃれで、こんな風呂敷があったらほしいかも。
実家にも古そうな菓子器や盆、掛け軸があったので、今度帰った時にあらためて見てみようかな~。
by Inatimy (2010-02-08 17:46) 

yk2

みなさま、コメント&nice!、ありがとうございます。
今回はちょっとイレギュラーですが、後ろから順にお返事させて頂きまするm(_ _)m。

◆いなちみのすけさま :

ちょっとちょっと~、いなちみいさんっ。同じ思考回路だと何で軽くショック~?(ー“ー)ふんっ!。誰かさんほどいつもいつも美術館で食べ物のことばっかり考えてませんよーだ(笑)。

福砂屋のマーク、蝙蝠だねぇ~、云われて初めて気が付いた!。
むかーし、まだ学生でハタチ前だった頃に、デパートの歳事コーナーでバイトして、九州物産展の時に一人で福砂屋さんのカステラ売らされたんだよ~。あんまり売れなかったんだ~。ちと辛かった(苦笑)。今でこそ各地のデパートなんかに出店してるから関東でも有名だけど、当時は知る人ぞ知る、ってカステラ屋さんだったからねぇ。でも、美味しいからたくさん試食させて貰いました。ザラメがいいよね~。

>実家にも古そうな菓子器や盆、掛け軸があったので

いなちみ実家は面白いもんありそーですね~(笑)。なんてったって、むすめさんの収集癖や目の付け所のセンスを考えると、・・・ねえ~(^^。カメラ持って取材に行きたいくらい(笑)。


◆pistaさん :

あらら、pistaさん、お出掛け続きで疲れちゃいましたか。それは残念でした。でも、なんなら4月から若冲縁の京都・相国寺の承天閣美術館でもやりますけど、醍醐寺辺りでお花見ついでに、いかがざんしょ?(笑)。

>北斎とその娘の番組がなかなかおもしろかったですよ~

僕はそれを見逃してしまいました~(><)。
なかなか面白かったみたいですね。早々にBSででも再放送してくれないかなぁ。


◆plotさん :

あー、もう機上でしょうか。
13日が2月の初午ってことで、王子稲荷に奉納されている是真の「額面著色鬼女図」がこの日だけ公開されるそうで、観に行きたいなぁと思ってたんですよ~。凧市で縁日も出るんですね。当然、洋一さんとこに近いなぁ~と思いつつ。


◆aranjuesさん :

>アメリカ人が惚れ込みコレクションされてることをすごく残念に思います

明治の帝室技芸員たちが日本より海外で評価されているのには、ちゃんと理由がありまして、彼等の作品は初めから外貨獲得の目的で万国博覧会に出品し、そこで賞を取って高く欧米に売ると云う前提で作品制作を行っていた、と云う側面もあるのですよ。良い物を作り外国へ売り、外貨を稼ぐことこそお国の為、って森村市左衛門のノリタケの創設理念、志と全く一緒ですね(^^。

by yk2 (2010-02-08 23:00) 

mami

先日はご訪問ありがとうございました。
出光美術館で抱一の「紅白梅図屏風」が展示されるのは14日までだそうです。抱一目当てならお急ぎ下さいね。
ちょっとお知らせまで。
by mami (2010-02-08 23:50) 

yk2

◆バニラさん :

お、文箱と書かれておられると云う事は、バニラさんは予定通りご覧になられたのですね。会場では枇杷の実の描かれた文箱がいいなぁ~と思って見てました。サイズ的に丁度筆箱サイズ。パーカーの蒔絵の万年筆とか持ってたら、これにピッタリかもね~なんて友人と話してました(^^。


◆mamiさま :

ご訪問いただき、ありがとうございます。
美術好きな方のご訪問大歓迎でございますので嬉しいです(^^。

また、ご丁寧に出光の抱一の展示期間まで教えて頂きまして、重ねてありがとうございます。14日までですか。じゃ、建国記念日の木曜か土曜に行けるといいなぁ。折角の情報、無駄にしない様にさせて頂きますね。

僕は三井記念美術館には今回初めて出掛けたのですが、クラシックな造りが重厚で、是真の作品を観るにはぴったりの会場でしたね。作品に添えられている解説も騙し漆器の是真に相応しく、真面目には書かれてるんですけど、結構茶目っ気が感じられて面白かったです。2回くらい、それで騙されちゃいましたから(苦笑)。


◆paceさん :

もう、paceさんは難しい漢字をサラっと使いすぎです!(苦笑)。「樲」がわかんなくて苦労しましたよ~。「棗=なつめ」でよろしいんでしょうか?。ATOKの漢字パレットに手書きで入れて、やっと認識してくれましたが、netじゃ読み方さえ出てきませんでしたから(苦笑)。僕は茶道具なんて縁が無いので、普通の棗の重さが分からないのです。そのギャップ、実感してみたいなぁ。

by yk2 (2010-02-09 00:03) 

yk2

◆taekoねーさん :

かなーりな長文コメントあざーす。
こちらも気合い入れて返信せねばと、大トリにさせて頂きました(笑)。
※トリって云っても、別にレダからのヤキトリつながり(爆)にしたワケじゃないですからね~(笑)。

漆工芸品って、アメリカの乾燥した気候だと、結構干割れしたり保存が難しいらしいですね。そのせいで、当初はその美しさで人気があったみたいですが、次第に輸出量が減少して行ったと以前何かの本で読んだことがあるんですが、エドソン夫妻には美術館の学芸員さんがアドバイザーで付いているから、保存もバッチリなんでしょうね。干割れのフェイクが本当に割れちゃったら、シャレにならないですものね(^^;。

柳に水車文重箱に描かれた秋草の風景は、確かに格調高く美しかったですね。あんなお重にご馳走つめて、野点なんぞに出掛けられたら風流でございますわね。でも、所詮、僕は抱一の鶉図見てその晩にウズラ食べちゃうようなヤツですので、花より団子。詰まるところは、結局いなちゃんと同じ思考回路みたいです(笑)。

赤いやかんのお盆は、やかんだけがイラスト風って本当にそうなんですよね。稲穂やバッタは完全に日本画の世界なのにタッチが違ってて。あれは僕も面白いなぁと思いました。

三井記念美術館は上でも書きましたが、なかなか素敵な美術館でしたね。建物自体も風格があって立派だし。今度はついでに同じビル内のベットラにも行ってみたいな~って、結局は最後も食べ物ネタがオチかい・・・(苦笑)。

by yk2 (2010-02-09 00:40) 

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