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彫刻のあるところ#2 / 府中市民の森公園 [ART]

2011年11月23日(・水曜日)
府中市民の森_top.jpg

 きっと、また飽きもせず彫刻か・・・なんて具合に呆れられてしまうかもしれないだろうなと思いつつ、記事3つ続けて今回もブロンズ像ばかりの「彫刻のあるところ」シリーズ(?)です(^^ゞ。特別に面白い話が有るわけで無し、写真が幾つかただ並んでいるだけのエントリ(その割には長かったりもして・・・^^ゞ)ですので、そんなものでも構わないと仰って頂ける様でしたら、どうぞ続きもご覧下さい。




府中市民の森01.jpg

 この日、僕がやって来たのは東京都府中市にある都立府中の森公園

府中市民の森02.jpg

 ここには、2年前の秋にも園内に在る府中市美術館と紅葉を目当てに訪れていて、その広い敷地内をカメラ片手に散歩するのは気持ちが良く、なかなかに楽しいものだったため、またいつか再訪したいなぁと、かねてより思っていた場所です。
(※ 参照→ 『紅葉の府中の森公園を行く』:http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-12-14


 ただね、ウチから府中はかな~り遠いイメージがあって、なかなか、すっと軽くは足が向かない場所。単に“紅葉”だけだと、それほどは強いモチベーションにならないんですよね(^^ゞ。

府中市美術館02.jpg

 その、“行こう!って気持ち”までになるのにちょっと足りない部分を補完してくれるのが、府中市美術館でこの日まで開催されていた企画展、『世紀末、美のかたち』。紅葉+美術館の組み合わせなら、期待する気持ちは充分に満たされますから(^^。

 19世紀末フランス、エミール・ガレやルネ・ラリックらが活躍したこの時代は、機械文明の勃興による新世紀への期待と、扇情的な終末思想に駆り立てられた人々の不安や退廃的享楽指向が混沌として、それまでに無い独特の文化芸術が形成されていったわけですが、それを工芸と絵画を通して敢えて一括りに「世紀末のかたち」として俯瞰してみようと云う趣旨趣向。
 この辺りは、これまでも結構観たり読んだりして、興味を持って追いかけている部分。また何か、アール・ヌーヴォーとジャポニスムの関係で新しい発見が出来たら嬉しいんだけどなぁ。


 そして、加えてもう1つ。
 前々と前記事、2回続けて舟越保武さんの彫刻を取り上げた僕のブログを読んで下さった友人のtaekoさんから「yk2くん、舟越さんのブロンズなら府中の森にも在るのよ。」とご教授頂いたのです。

 府中の森公園内には幾つかの彫刻作品が点在していることは情報として知ってはいたのですが、2年前の訪問時はそれほど気にも掛けていなくって(^^ゞ、通りかかった場所に在った作品をさらっと眺めて来た程度。舟越作品が置いてあるだなんて、それは是非是非見に行かなくっちゃね[わーい(嬉しい顔)]


※参照、taekoLoveparisさんの記事:
 『世紀末、美のかたち展』→ http://taekoparis.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18


府中市美術館01.jpg

 現地に到着したなら、先ずは美術館の受付に立ち寄って、公園内の案内図を貰いましょう。これに、園内のどこにどんな作品が設置されているかが載せられています。限られた時間内、広い園内で彫刻を探すのに、当てずっぽうで歩くのは無謀と云うものですからね(^^;。


舟越保武_鳩を持つ少年04.jpg
◆『鳩もつ少年』(1985) / 舟越保武

 公園の正門から美術館を過ぎてすぐ左へ。前回全く歩かなかった辺りの野球グランドとテニスコートの間を行くと、そのブロンズ像は在りました。舟越保武作、『鳩もつ少年』です。

舟越保武_鳩を持つ少年02.jpg 舟越保武_鳩を持つ少年03.jpg

 「結構木々が鬱蒼としていて、暗い場所にある」とtaekoさんが仰っていたとおり、木の下で陰になっていて、尚且つ木肌とブロンズ像の色が同化してしまっていて、全く目立ちません。うっかりすると、ついつい素通りして見過ごしてしまいそう(苦笑)。

舟越保武_鳩を持つ少年01.jpg

 なだらかでほっそりとした少年の体つきは、僕が思う年の頃なら12~14歳といったところでしょうか。如何にも舟越作品らしい、ナイーヴで清廉な少年像。慈しむ様に、そっと鳩を両手に抱く仕草、眼差しが優しい。静謐でいて、敬虔。


向井良吉_七月の樹.jpg
◆『七月(七夕)の樹』(1993) / 向井良吉(むかい・りょうきち:1918~2010) / 真鍮とアルミニュウム

公園中央を貫くメイン通路に戻ると、ブルーの瞳の様な不思議な造形のオブジェに出会います。僕はこうした前衛美術的な作品には、普段はあまり気持ちが惹かれはしないのですが、作家の「向井良吉」と云う名前が妙に引っかかって、どこか聞いた覚えが有る様な無い様な、知ってる名前の様な気がして写真に収めて来ました。家に戻って調べてみれば、洋画家・向井潤吉の実弟なんだそう。


笹戸千津子_少女01.jpg
◆『少女』(1993) / 笹戸千津子(ささど・ちづこ:1942~ ※ ) / ブロンズ

 僕はそれ程彫刻に詳しくなんてないので、笹戸千津子の名前を聞くのも、その作品を見るのも初めてだったけれど、調べてみればこの女流作家は佐藤忠良のお弟子さんだそうで、僕が忠良の名前を覚えるきっかけとなった、とても印象深い彼の作品・『帽子・夏』でモデルを務めるなどしていた女性なんだそう(ソースはこちら→ )。思わず「へぇ~~~」です。

※参照画像、『帽子・夏』/ 佐藤忠良作、宮城県美術館蔵
(→ http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/mmoa/ja/navigation/index.asp?url=../mmoa/collect044.html

笹戸千津子_少女02.jpg

 笹戸さんは山口県宇部市ご出身とのことで、宇部市のデジタルアーカイブというサイト内にご本人の画像が掲載されているのを見つけたのですが(→ http://archives.city.ube.yamaguchi.jp/list_author.php?c_id=70&author_id=56&page=1)、どことなく、この少女像に顔立ちが似ておられる気がして、モデルは作家のお身内なのかな?なんて思ってみたりして(^^。

笹戸千津子_少女03.jpg

 この時期は日の入りが早く、夕暮れがあっという間に訪れます。まだ3時を回ったばかりだというのに、早くも傾き始めた晩秋の陽光に照らされ、この少女もそろそろ家路へと就く時間かななどと、少女を現実の存在であるかの様に、そのパーソナリティを想像してみます。それと云うのも、この作品が随分と写実的な造形をしているから、でしょうね。この子はどんな性格の女の子なのかな、いや待てよ、ただ単にポーズを取っている分けじゃなくって、この衣装でこの足つきは、ひょとしてバレエのレッスンを受けているところなのかな?、なんて具合に。

 今回の記事をまとめながら思ったのですが、面白いもので、例えばマイヨールや舟越保武作品を見ていても、僕はこうした現実めいた想像はあまりしないのです。二人ともに穏和な理想美的作風だからでしょうか、もっと物語的な、極端に云えば夢想的な何かを常に感じているのです。ですが、この笹戸さんや師匠の佐藤忠良の造った人物像からは、全く生身の人間の様な卑近な感覚を得るのですね。やっぱり先生の影響はすこぶる多大なのかな?(^^。


 ところで、この日の時点では公園自体の紅葉は実のところまだ見頃と迄は云えず、紅いのは一部のモミジばかり。一番好いのはきっと1~2週間後、12月初旬になるでしょうか。それでも、この少女像の周辺はご覧のとおりの黄金色。屋外の彫刻は季節や天候、時間によっても随分印象も変わるものですが、この日出掛けたのはなかなか好い選択だったかも。少なくとも彫刻に関しては、思うより雰囲気の良い写真が撮れました[わーい(嬉しい顔)]

府中市民の森04.jpg

府中市民の森03.jpg






 以下は手抜き(^^ゞで写真のみの掲載です。

雨宮敬子_少年02.jpg
◆『少年』(1993) / 雨宮敬子 / (あめみや・けいこ:1931~ ※ )ブロンズ

雨宮敬子_少年01.jpg


★ ★ ★


柳原義達_鴉01.jpg
◆『道標・鴉』(1968) / 柳原義達(やなぎはら・よしたつ、1942~2004) / ブロンズ

柳原義達_鴉02.jpg


★ ★ ★


朝倉響子_アンとミッシェル01.jpg
◆『アンとミッシェル』(1993) / 朝倉響子 / (あさくら・きょうこ:1925~ ※ ) / ブロンズ

朝倉響子_アンとミッシェル02.jpg

朝倉響子_アンとミッシェル04.jpg

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TaekoLovesParis

私が行ったときより半月以上後ですね。紅葉がすすんで、とっても
綺麗です。
この近所に住んでいたことがあるので、府中の森公園は散歩場所
でした。だから、どの彫刻にも見覚えがあるのですが、彫刻の横に
説明書きはなかったので、謂れを興味深く読みました。
向井良吉さんの彫刻をこの角度から撮ると、桜並木が全部はいる
写真になるのね、などと、見せ方のうまさに感心しました。
住居兼アトリエが世田谷美術館分館として公開されている向井潤吉
の弟さんなんですね。
彫刻は見る角度によって、ずいぶん違うし、私には難しい被写体です。

by TaekoLovesParis (2011-11-29 22:41) 

pace

夕日が当たっていて素敵ですね
向井潤吉の弟がアブストラクトとは!
by pace (2011-11-30 16:56) 

chercher

笹戸さんの作品のお顔が、忠良さんの作品に似ているな~と
思ったら、お弟子さんだったのですね!
やはり室内よりも自然の中にある彫刻の方が素敵ですね♡

by chercher (2011-11-30 23:54) 

Inatimy

彫刻記事3つ続いて呆れられるなら、私のアミアン記事7つは、どうなんだろう・・・と
考えるのもこわいな。 コメントかなり減ってるし(笑)。
紅葉や落ち葉の色と夕暮れ時の光で、静かで落ち着いた雰囲気ですね。
これがまた春だったら、ぐっと彫刻との雰囲気が変わるのかしら。
笹戸千津子の少女の像も、雨宮敬子の少年の像も、
どちらも左足を出してるのが、なんとも面白くって。
きっとそれぞれ離れた場所にあるんだろうけれど、
右を向いた少女の像、左を向いた少年の像の写真だから、
ペアで向かい合って置いてあっても不思議じゃない気がしてきます♪
ふふ、見つめ合うアンとミッシェル・・・間に割って入って一緒に写真撮りたいかも。
by Inatimy (2011-12-02 07:15) 

バニラ

すてきな彫刻が並びましたね。
少年や少女からちょっと大人になったアンとミッシェル、好きだなぁ~
by バニラ (2011-12-03 16:24) 

hatsu

1枚目の写真、素敵ですね^^
『何を見ているのかなぁ、お家へ帰るのかなぁ』、
想像してしまいますね。
前記事に合ったジョイナスの森、初めて知りました。
ホッとひと息つきに、今度行ってみたいと思います♪
by hatsu (2011-12-06 06:36) 

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