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Caudalie [そとごはん、そとワイン]

2013年04月14日(日曜日)
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 西洋美術館でラファエッロの展覧会を観た後に、急遽上野で晩ごはんを食べることにした。西洋美術館前のHIBIKIでお茶を飲みつつ(実際はビールですが^^ゞ)、自由が丘のル・シャポンが閉店してしまって困ってる、気軽に出掛けられるお店が無くなってしまった、どこかお薦めのレストランはないかしらん・・・なんて内容の会話を友人としていたら、そう云えば上野には是非一度行ってみたいフレンチが在ったじゃないか!と俄に思い出して(^^。




 そのお店の名はCaudalie(コーダリー)。元ソフィテル東京のソムリエだった方が独立して開店したと云うお店。早速電話を入れてみたところ、日曜日の夜だからだろうか、幸運にも席はあっさり取れた。実はこの店には以前にも二回程ランチの予約を試みたことがあったんだけど、ぜ~んぜん取れなかったんだよねぇ。行くのは初めてだし、ちょっと分かりにくい場所にあるらしいので、タブレットの地図アプリに所在地を入れて、液晶画面を見ながら不忍池方面へ向かい、池の反対側へ。さらにメインの通りから一本向こう裏へ入るので、確かに土地勘が無かったら迷ってしまいそう。ここにホントにフレンチのお店が在るの?って具合の場所で、その外観も、決していかにもなレストランふうじゃなかったから、危うく通り過ぎてしまうところだった(^^;。


 お店は全部で9テーブル18席程の小さなレストラン。僕等が席に案内されると、空いているテーブルは残り2つだけだった。白い壁と天井にはダークブラウンに塗られた幅20~30cm程の木材(?)がヨーロッパの古い家屋内部の梁の様に、等間隔のストライプ状に配されていて、それが逆にモダンなムードを醸している。そこそこ気軽な店だと聞かされていたのに、いやいや、なかなかシックで落ち着いた雰囲気ではないか。

 なのに、この日の僕の服装はときたら、午前中、横浜スタジアムでのチューリップ撮影で、多少地面にしゃがみ込んだって構わない様にと意図した、思いっきりラフな格好。よりによって、普段でもあまり着ないフーデット・パーカーにカーゴ・パンツなんて出で立ちだった。尚且つ僕等の両サイドのテーブルのお客さんは、2席ともきちんと品好くジャケットを着用なさっておられる年配の紳士とお連れの女性・・・。参ったな、こりゃ[ふらふら](汗)。


★ ★


 てなコトで、久々にレストランで感じる居心地の悪さ(あくまで自分のせいで、ですよ^^;)にさいなまれながら(苦笑)、この日のディナーはスタート。

 従って、当然にこの状況下で料理の写真を撮るだなんて滅相もない・・・[たらーっ(汗)]って具合で、写真なしのアミューズは、一口サイズの3品。蕪のムース仕立て、エゾシカを杏子とともに、鳥ハムのトリュフソース。(※なお、本頁に記した料理名はお店のメニューに記載された正式な名称ではありませんのであしからず)

 この日チョイスしたのは、前菜2つとメイン1つのプリフィクスのコース。先ずはフォアグラからなんだけど、これが珍しいイチゴとの盛り合わせ。それに1切れだけ、フォアグラを桜の葉の塩漬けで包んだものも添えられていて、桜餅のあの香りがふんわりと漂う一皿だった。

 と、ここでその日の同行者が「わぁ~、きれいな盛りつけですね~、お料理の写真撮っても構いませんか?」と、サーヴィスを担当する若きオーナー・ソムリエ氏に一言発する。唐突なその発言に、僕は思いっきり吃驚して、思わず口に含んでいたシャンパーニュを噴き出してしまうかと思う程に当惑してしまった。だって、写真に撮ってもいいですか・・・と訊いているその御本人さんはその日カメラなんて持って来ちゃいないんで[パンチ]、イコールそれは僕に写真を撮れてってコトだから[がく~(落胆した顔)]。勘弁してよ~~~、この状況下で、尚且つ、この日持ってたカメラには、レストランのテーブルに出すにはおよそ不似合いな物々しいレンズ(TAMRON B005E SP AF17-50mm)が装着された一眼レフ。ただでさえ服装のせいで肩身の狭い気がしてるのに~[あせあせ(飛び散る汗)]


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 てなコトで、ここからは半強制的にカメラマン兼記録係ですよ、まったく。こんなにレストランで恥ずかしかったの久し振り(苦笑)。それというのもね、僕等のすぐお隣のテーブルの品の良さ気なお二人は、どうやら音楽教育に携わっておられる方々のようで、ストラヴィンスキーのバレエのプログラムなんぞを手に会話をなさってらっしゃるから(場所柄、藝大のご関係かな~なんてついつい思っちゃうよね^^;)、余計に僕は自分が店の落ち着いた雰囲気に破調を与えている様な気がしてならなくって[ふらふら]

 加えて、ちょっと俳優の伊勢谷友介を思い起こさせる様な男前オーナー・ソムリエ氏が、ピンストライプのスーツでばっちりスタイリッシュに決めていたのも、きっとこのレストランの雰囲気をおしゃれに感じさせていた要素の1つ。でもね、たまたまお隣のテーブルでストラヴィンスキーだったせいなんだけど、僕はそのピンストライプのスーツとクラシック繋がりで、かつてBS-NHKで放送していた『名曲探偵アマデウス』の主人公である天出臼夫(あまでうすお=筧 利夫)を彼に重ねて思い出してたりもしてたけど(笑)。
 

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 この日選んだシャンパーニュは、まったく予備知識の無いアラン・ベルナールと云うメゾンのブラン・ド・ブラン。ブランゆえにさっぱり目かと思いきや、想像していたよりもしっかりしたボディ。訊いてみたところレコルタンの生産者だそう。2/3ほど飲んで、残りはデザート用として楽しむことに(^^。


 ここで後半は何を飲もうかと相談。ワインリストを見ると、アルザスの欄にマルセル・ダイスの赤が載せられていた。アルザスの赤が有ると、ついつい飲みたくなっちゃうんだよね~[るんるん]


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◆マルセル・ダイス サンイポリット2007

 オーダーしたメインの料理と合わせてどうでしょう?とソムリエ氏に相談すると、まだ固いかもしれないので早くから抜栓しておけば好いかもしれません、との事。確かに開けてすぐに一口だけ試してみると、かな~りタンニンがしっかりした味わい。典型的薄旨アルザスの軽いピノではなく、そこそこしっかり目の赤い果実系ですね。マルセル・ダイスの赤は、以前に飲んだビュルランベルグ04が驚く程に濃いワインで、これがアルザスか!と驚かされた経験があるけど、これはそこまでではなさそう(^^;。これから一時間でどう変わっていくかなぁ[揺れるハート]


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 お次はアスパラ。ホタルイカとの組み合わせって随分珍しいよね。こう云うのは初めて。スプーマ状のソースはコキアージュ(貝類)の出汁を泡立てたものと黄色いのはサフランのソース。


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 メインは初めからシェアするつもりで別な物を二皿。ホロホロ鳥(写真上)と牛モモ肉の赤ワインソース(写真下)を。ご覧の通り、ホロホロなどはなかなかユニークな盛りつけで、根菜を中心に野菜がたくさん添えられていて結構食べでがある。丸く成形された肉はしっとりとした焼き加減で適度な歯ごたえもあり、肉自体がとてもジューシー。ソースはマッシュルーム。

  
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 一方の牛も脂肪の少ない部位でありながらも、しっとり柔らかく旨味がたっぷり。サーロイン辺りが苦手になって来た僕には非常に嬉しい味と食感の牛肉だった。

 この頃になると、開けた直後はタンニンがぎしぎししていたサンイポリットもすっかり穏やかになって、カシスの様な味わいと心地の良い酸味のフルーティなワインに変化していた。早く抜栓しておいて大正解[わーい(嬉しい顔)]。 


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 口直しのソルベが浮かべられているのはゼリーの上かと思いきや、パイナップルの果肉とさっぱり目のシロップ風。


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 僕のデセールはチョコレートのムースにキャラメルのアイスクリーム。


08_ジンジャーのソルベとグレープフルーツのジュレ.jpg

 こちらはグレープフルーツとオレンジのジュレにジンジャーのソルベ・・・だったかな(^^ゞ。


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 最後にプチ・フールとして供されたのは、明治以来の美術工芸振興の町としての上野に相応しく(笑)、漆のお皿に載せられたひと口サイズのミニどら焼きで、プラリネされたクルミ入り。フレンチの〆としては、なかなか面白い演出でした[わーい(嬉しい顔)]


★ ★ ★

 
 このところ暫く僕が食べて来たフレンチは、シャポンにしろブノワにしろ、割と伝統的なビストロ・スタイルだったので、こういった(創作的な意味での)チャレンジングなフレンチは久し振りな気がして、かなり新鮮だった。

 それでも、兎にも角にもこの日は服装のお陰で落ち着かない日だったので(正直、推薦者の「カジュアルで全然平気だから」にはすっかりだまされました。そもそも、以前に行ったのはランチだったって後から云うし![バッド(下向き矢印)]・・・苦笑)、今度はもう少し小綺麗な格好で再訪したいもの。それはジャケット着用が必要だからと云う固い意味ではなくて、少しお洒落にして出掛けたいお店だから、ってコト(^^。

Caudalie:website →( http://restaurant-caudalie.com/



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pistacci

この辺りは無縁坂、東大病院や岩崎庭園があって、ちょっと入った方が落ち着いたお店がありますね。
周辺歩くには全く違和感ないファッションだとおもいますが(むしろ多いですよね)、次回はドレスアップしてリベンジ?(*^^*)
by pistacci (2013-05-07 14:03) 

Inatimy

今度は小奇麗にオシャレして、カメラも料理撮影スタイルにして、
高尚な芸術パンフか何かを手にしてビシッときめて、是非、アミューズの写真もお願いします♪
ホワイトアスパラと海のもの、合わせたことがないので、今度試してみようかしら。 
ホタルイカは無理かもしれないけど・・・。 
by Inatimy (2013-05-07 15:05) 

バニラ

すてきな隠れ家レストランですね。
料理がとってもおもしろくて、興味津々~♪
ミニどら焼きには、びっくりだし。
上野に行く予定があるときには、早めに予約をいれてみます。
その時はおしゃれして行かなきゃね♪♪
by バニラ (2013-05-08 19:45) 

yk2

nice&コメントありがとうございます。

◆pistaさん:

恥ずかしながら、無縁坂がこの地にあるってこと、初めて知りました。ついでに、さだまさしの『無縁坂』の舞台が上野だってことも、今回のpistaさんにコメント頂いて、「えっ?」と思って調べて初めて気付きました~(^^ゞ。歌詞の♪忍ぶ忍ばず無縁坂・・・は、不忍池かぁ~。歌に歌われている主人公は彼のお母さんであり、「彼」が子供の頃のお話ゆえ、てっきり出身地である長崎が舞台なんだろうと、初めて聴いた小学生の頃から、ずっとそう勝手に思い込んでました。>フィクションなどととは少しも疑わない純真な子供だったから~(爆)。名の由来は無縁寺が在ったから、の無縁坂なんですね。まだ若かった「母」は、どうして無縁坂を登るたび、溜息をついたんだろう。子供の頃から知っている歌に、僕の全く気付かなかった舞台ともっと深い設定があったんだなぁ~と感じ入ってます。・・・って、コメントの返信が歌の『無縁坂』ばかりにみょ~に偏ってしまいスミマセン(^^ゞ。


◆いなっぴー:

なんでわしがバレエのパンフレットまで小道具に用意しなきゃいけませんの(苦笑)。格式張った店じゃないから、まぁ気にしすぎと云われてしまえばそれまでなんだけど、同行者いわく、たまたま案内されたテーブルの両サイドが「綺麗な支度でレストランにお出掛け」ふうだったからで、他はそんなでもなかったって云うんだけど、ね(笑)。

ホワイトアスパラと海のものは、いなちゃんならば、やっぱりエビでしょう?(笑)。単にボイルしてどっちもオランデーズで食べるだけじゃあんまりにも普通で一緒に食べる意味も薄いでしょうから、凝り性で学究肌のいなちゃんらしくひとヒネリ入れてみてね。研究発表、楽しみにしてます(ふふふ)。


◆バニラさん:

上野の美術館からはちょっと歩きますが、小腹を空かすには丁度良いくらいの散歩道ですよ。僕も出来たら本当は、日曜のランチをここで摂ってそのあと美術館ってパターンがいいなぁ~と思ってるんですが、サイトからのネット予約はいつも「空き席なし」なんです(T.T)。

>その時はおしゃれして行かなきゃね♪♪

今回購入なさった例のカタログ写真のセット一式でばっちりですね~(笑)。

by yk2 (2013-05-10 01:06) 

プルピ

 はじめまして、舟越保武氏の作品を見たくて検索してこちらにたどりつきました。2011年の記事は参考になりました。横浜ジョイナスの「茉莉花」は知りませんでした。近いうちに行ってみようとおもいます。

このレストランは素敵ですね~
上野はわりと近いので探してみます。


by プルピ (2013-05-24 10:08) 

yk2

◆プルピさま:

ご来訪&コメント頂きありがとうございます。舟越保武さんで検索なさって当方までおいで下さったとのこと、大好きな彫刻作家ゆえにとても嬉しく思います(^^。

上野が近いと云うお話ですから、逆に横浜はあまり近い場所ではないでしょう。ジョイナスの屋上は美術館ではありませんので、彫刻目当てでわざわざおいでになるには作品数も少なく、肝心の舟越さんの作品も僅か1点だけ。少し申し訳ないような気も致しますが(^^ゞ、何かの用でご来浜の機会がありましたら、序でに是非訪れてご覧になってみて下さい。

舟越さんの作品は、首都圏の美術館でも1ヶ所に1体だけなんて事が多く、それだけを目当てにすると結構大変ですよね。僕も平塚美術館や東京都都庁の都民広場へ行きたい行きたいと思いつつ、なかなか実現出来ないでいます。今回プルピさんにコメント頂き、僕もまた、まだ見ぬ舟越さんの作品に会いたくなりました(^^。
by yk2 (2013-05-25 03:02) 

プルピ

 そうですね。一体ずつのことが多いようです。
私は彫刻のことはよくわからないですが美しいと思います。
舟越氏のことはNHKの番組で知り、まだ彫刻の実物は見ていません。

舟越保武氏の彫刻を観るために、いろんな場所を訪ねてみたいと思っています。
まずは、東京からコツコツ観てまわります。
清瀬市のキヨセケヤキロードギャラリーに「笛吹き少年」があるそうです。
近々訪ねます。佐藤忠良、柳原義達などいろんな作品が設置されているそうです。
 舟越氏は芸術作品だけでなく、エッセイも素晴らしいです。
作品の美しさの根源にふれたような気がします。

昨年、「舟越保武全随筆集」が出版されました。
あとがきに、氏の次男である舟越桂氏が保武氏の告別式での挨拶文が収録されています。
 
by プルピ (2013-05-25 20:43) 

yk2

◆プルピさま:

お返事遅くなりましてすみません。
そうですか、NHKは日曜美術館でしょうか。確かにあの番組の舟越さんの回はかなり反響有ったみたいですね。

清瀬市のキヨセケヤキロードギャラリー、教えて頂きありがとうございます。道々に彫刻が点在しているのですね。面白そうです。私の住まう場所からは少し遠いですが、東横線が池袋の方まで行く様になりましたので、多少はアクセス利便も向上している(?)でしょうから、いつか出掛けてみたいと思います(^^。
by yk2 (2013-06-06 00:10) 

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