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Ristorante Machiavelli / リストランテ・マキァヴェッリ [そとごはん、そとワイン]

2017年08月11日(金曜/日:山の日)
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 マキァヴェッリの君主論を肴にしてルネッサンス期のイタリアを語りつつ、その子孫の作るワインを傾ける夕べ・・・なーんてね[わーい(嬉しい顔)]


 前期後期で66点も作品が入れ替わるとされていた版画家・吉田博の生誕140年展覧会後期を観に行ったその帰り、以前から話には聞いていた新宿・小田急百貨店に入っているリストランテ・マキァヴェッリへと初めて出向いた。ここんち、上でもサラッと書いたけど、なんとあの『君主論』を書いた中世イタリアの政治思想家、ニッコロ・マキァヴェッリ(Niccolò Machiavelli:1469~1527)の子孫に関連(と云うか、提携)するお店なんだって。

 でも、ここで今から「君主論」や中世イタリア史のお勉強するのもなんだから、興味がお有りの方、詳しくはwiki(→)ででもチェックなさってみて下さい(^^ゞ。


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 先ずはフランチャコルタから。

 デパートの中のイタリアンってことで、正直なところあんまり良いイメージも持っていなかったんだけど、お店の内装、雰囲気は落ち着いていてモダン。歴史的イメージのトスカーナじゃなくて、むしろ現代パリって感じかな。リストランテ・マキァヴェッリはフィレンツェで創業200年を数える老舗らしいんだけど、1000年以上も経った建物がごく普通に今も使われる彼の地にはこの手のモダンなお店って皆無?と僕のアタマの中にあるイメージは既に10年以上前のものだから、今日では全くアテにはなりませんが(苦笑)。

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 この写真はお店のサイト(https://www.giraud.co.jp/machiavelli/)からお借りしました(^^ゞ。当日、まさに僕らが通された席がこちら。なかなかオシャレでしょ?。

 反対側には開放的なテラス席もあって、そちらの席限定でこの時期はビール飲み放題プランもあるそうな。


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 コースはプリフィクス。前菜とメイン2品をお好みでチョイスする形式。だけど、この最初の前菜は
「お通し」的に皆に供されるもの。空豆とエビの冷製。


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 お好みの前菜。僕が選んだのは「トスカーナ産生ハムとマンゴー・ロースト・ビーツのハーモニー ゴルゴンゾーラ添え」。

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 同行友人は「彩り夏野菜のテリーヌ 雲丹のソースで」をチョイス。

 ここまでの前菜のお皿を見る限り、盛りつけなんか完全にフレンチじゃん、生ハムのみがトスカーナ産だと云うだけで(笑)。


 トスカーナ地方にだってピサみたいに海沿いの街もあるけど、今日ここで海のもの(=素材)はまるで頭になかった。と云うのも、現在のマキァヴェッリ家はキァンティの生産者なんだと聞いていたので、僕が勝手に思い浮かべていた景色は、かつて旅行した折にシエナからピサに向かう電車の車窓に見た様な山や丘と云う地形。だから、ここでも初めから終わりまで肉肉肉みたいな素朴なトスカーナ料理のメニューを想像してたもんだから、こりゃ思ってたのとは大分違うなぁ(^^;。


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 本日のスープはジャガイモのポタージュ・・・だったと思う(汗)。
 

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 パスタは「テスタローリ 旬の貝類のバジリコソース」。菱形の様な変わった形のパスタがテスタローリ。僕も初めて食べるこの形状のパスタは、イタリア最古のショートパスタとも云われているらしい。貝類はほや貝、ツブ貝、トリ貝など。


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 一方こちらは超シンプルな見た目の「サマートリュフとパルミジャーノレッジャーノの黒胡椒風味」のタリアテッレ。


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 ここで、フランチャコルタを飲みきる前から抜栓して貰っていた赤ワインを。もう他には目もくれずこの日は絶対にマキァヴェッリのキアンティを飲むんだ!と決めていた。でも、スタンダードなキアンティやクラシコ(→http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2007-09-01 )はその昔、ボトルで買って飲んだことがあるんだよねぇ。同じじゃないのがいいなぁ・・・と思っていたら、前記以外にもう1種がリストに載っていた。それがこの「il Principe 2006」。イタリア語に詳しくなくたって、それが英語の「prince」とイコールなことくらいは知ってるし、そういやフィレンツェにはその名を冠した老舗百貨店も有ったよね、なんて思い出したりして。でも、後から調べたら、『君主論』のイタリア語タイトルがそのものだったんだ(^^;。

 で、このプリンチペはキアンティではなくてトスカーナIGT。サンジョヴェーゼにカベルネ、ピノネーロの混醸。開けてすぐ、テイスティングの段階では鮮やかに咲くスミレ。友人はスミレはスミレでもブーケだね、と云うくらいに華やかな香りがした。色は深めのルビー。一口含んでみる。最初にサンジョヴェーゼ由来の酸味が来るけど、それは尖ったものではなくほど良く熟したベリー系。喉を過ぎる段階でカベルネのせいだろうか、ちょっとカカオ系の味わいを残しながら落ちてゆく。タンニンは穏やか目でボディはフルよりはやや軽めかな。抜栓してすぐなのに、今すぐ飲んですごく美味しい!。


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 メイン1の魚料理は「マコガレイのムニエル ケイパーと柚胡椒のソース」。

 この料理のためにフランチャコルタをちゃんと残しておいたのだけど、イル・プリンチペで合わせても全然大丈夫。いや、むしろ自然で、美味しい。タンニンがくどくないからかな?。

 但しこのワインね、時間の経過と共に酸味が消えてゆくのが早くって、かなり急ぎ足でマイルドに変わって行く。バニラ香のする穏やかなメルロに近付く、とでも云おうか。これはサンジョヴェーゼ主体のキアンティクラシコやサンジョヴェーゼ・グロッソのロッソ・ディ・モンタルチーノ / ブルネッロの味を求めてこのワインをオーダーすると、全くの別世界。なのでトスカーナの伝統系ワインがお好みの場合はちょっとパンチが足りなくなるかもしれないなぁ。今回は06年のワインだから今年で11年目。そもそも所謂スーパータスカン系(そりゃ、ピンからキリまで一緒くたに語るのは乱暴ですが^^ゞ)は早飲みしてもOKな造りで仕込まれているものも多いとも聞いてるし、ここまで寝かせていないもっとフレッシュなイル・プリンチペがどんなだか、一度試してみたいな。
 

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 メインのお肉。僕は「黒毛和牛の備長炭火焼き キアンティワインヴィネガーソース」。トスカーナのステーキってワイルドでボリュームもたくさんで豪快なイメージなんだけど、これはまた品の宜しいこと・・・(^^;って思っちゃうくらいにフレンチっぽい一皿。


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 友人は「骨付き仔羊背肉の香味焼き ハニーペッパーソース」。

 いや~、こちらが提携しているイタリアのマキァヴェッリの料理もこんな感じなのかしらん?。こう云ったモダンなイタリアンが受け入れられるのって、オシャレな人が集まるミラノならば・・・って気もするけど、ね(^^;。こちらももう結構長く営業されてるみたいだし、日本では独自路線なのかもしれないね。


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 ドルチェは友人が雪見だいふく(爆)と僕は盛り合わせを。


 伝統的なイタリアンを望まないなら(=本格的なトスカーナ料理を食べたいと思って行くのではないなら)、このお店は僕は結構好きだな。イタリアンとフレンチ、どっちが食べたいか迷っちゃって決められない日なんて、まさにぴったりな気がする(笑)。



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