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ハナショウブ2015 / 神奈川県立四季の森公園 [花図鑑]

2015年06月17日(水曜)
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 今年のハナショウブは5月の気温が例年になく高かったため、開花も満開も予想よりもずっと早く、6月後半まで時間はたっぷり有るだなどと暢気に構えていた僕は、すっかり出遅れてしまった。まだ月半ばだと云うのに、各所で伝え聞くところ東京周辺の花のピークはもうすでに過ぎてしまっているらしい。





 実際、家からほど近い横浜みその公園(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2010-06-13)に先週偵察(※すっかり日も暮れている夜に)に行ってみたのだが、確かに花よりもガラばかりが多い様に見えた。もう今年はハナショウブは諦めるべきか。そんなふうにも思ったけど、それもやっぱり淋しくて。好きな花だからね。数が少なくともいいじゃないか、どこか1カ所だけでもカメラを持って出掛けられたなら、どうにか僕の気も済むと思うんだ。

 そんなことで、もう次の日曜日だなんて悠長なことは云っていられない。急遽、久々に平日休みを取ってハナショウブを見に行くことにした。僕にとっては貴重な1日。さてと、どこへ行こうか。

 ここ数年、毎年行ってみたいものだと憧れているのは千葉の水郷佐原のあやめ祭り(https://www.city.katori.lg.jp/suisei-syokubutsuen/ayame.html)なれど、ここは一人でふらりと出掛けるには少々遠すぎる。では小田原か横須賀なら・・・。この二カ所も毎年候補に挙がる場所。今年こそ出掛けてみようかと考えるも、ピークを過ぎていると思うと、どうにもわざわざ今年これから出向く価値があるのか?などと考え始めてしまい腰が重い。明治神宮(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2013-06-28)、皇居二の丸庭園、小石川後楽園、堀切菖蒲園(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2013-06-12)など、ここ数年出掛けている場所を再訪しようか。前日までにいろいろ悩んだ末、望遠+単焦点のカメラ2台体勢で臨みたいので、荷物を気にせずクルマで行ける場所にしようと、2012年以来の町田・薬師池公園(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26)への再訪を決めた。ここなら栽培されている品種が豊富なので、他より遅咲き種も多いかもしれないと、あんまり根拠の無い淡い期待を抱いて(^^;。


★ ★


 ところが・・・。朝目が覚めると、外は予想外の雨[雨]。曇りとの予報だったのですっかり安心していたのに・・・。梅雨時だからこんなこともあるとは納得しつつ、わざわざ仕事を休みにしているのに、今日1日どうしたものかと途方に暮れてしまいそうになる。止める?。それも一案。傘を差して、ぬかるんだ泥に滑らない様足下の悪さを気にしながら花の撮影だなんて・・・[もうやだ~(悲しい顔)]

 様々に揺れて、しばし逡巡。

 でも、幸い雨は小降り。天候が悪いんだったら、わざわざ町田までクルマを走らせなくとも、横浜には県立四季の森公園だってあるじゃないか。近いんだから、ダメ元でこっちに行ってみればいい。とにかくハナショウブが咲いていてくれればいいんだ。最悪、写真を撮らなくとも構わない。傘を差して花を眺めているだけでもいいやと、急遽目的地も変更し、家を出発した。


 誰の普段の行いが悪いんだか(苦笑)、小雨だから・・・と家を出たのに、四季の森公園に向かうにつれ雨は勢いを増して、途中で引き返そうかと思うほどの土砂降りになった。それでも、短い時間の内に空は暗くなったり明るくなったりと、気紛れにその表情を変える。もうあと少しで目的地と云う地点では陽も差し始めた。雨さえ上がってくれれば・・・。

 そんな願いも虚しく、四季の森公園の駐車場に着いた途端再び本降り[もうやだ~(悲しい顔)]。仕方無い、傘を差して菖蒲田まで行きましょう。

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 薄暗い森の中を1人往く。
 菖蒲田のある谷の方へと抜ける下り坂はすっかり小川と化していた。滑ったり転んだりして泥だらけにならないよう気をつけなきゃね。


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 途中、最短距離で菖蒲田に抜ける道が崖崩れで通行止めだったりして遠回りさせられ、歩く事約10分くらいか。ようやくハナショウブとご対面。でも、思った以上に花が少ない。すごく少ない!。そして、僕の他には人っ子1人影さえ見えない。この天気だもん、当たり前だよね。貸し切りです(苦笑)。

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 残っている花のコンディションも良くない。ここの公園も確か以前は職員さん(もしくはボランティアさんかな)が花ガラ摘みをされていたと思うけど、この日は随分それがたくさん目に付いてしまう。激しい雨に打たれたせいだろう、花茎が折れてしまっているものもかなりある。近づいて咲いている花を見てみるも、雨水の重みで花びらはだらんと垂れ下がったり、端々が破れてしまったり。

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 コンディションの良いもの、写真に撮りたくなる様な個体を探すのにも一苦労。
 
 自然と溜息が洩れちゃうな・・・。
 なんだか虚しい。

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 こんな具合に無残に傷んだ花ばかりをたくさん眺めたせいだろうか、僕の頭の中にはラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』のメロディが浮かぶ。それも、デンマークの女性ジャズ・シンガー、セシリア・ノービーのクールな歌声のヴァージョンで(→ http://www.amazon.co.jp/dp/B004IVZQ8S/ref=dm_ws_tlw_trk1)。廃墟と化したうら寂しい古城に、在りし日の美しい王女の面影を追う様に・・・。なんて云うと、とってもロマンチックに聞こえるかもしれないけどさに非ず。僕の気分はむしろアラン・ポーの世界。まるで、どこを見渡しても王女の亡骸ばかりが・・・なんだよね[がく~(落胆した顔)]。今日この日となっては、美しいハナショウブはもはや夢幻の世界のもの?。

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 右手にカメラ、左手に傘をさしながらの不自由さも手伝って、そんな事ばかりを考えていては益々気も滅入るばかり。


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 いかん[ふらふら]!。少しポジティヴになろう。せっかくの貸し切り状態が勿体ないじゃん!。ここでちょっと発想を変えてみようと思い立つ。雨のせいで被写体として耐えうる花が少ないのなら、いっそその雨、花に付いた水滴を主役に据えてみるかな[ひらめき]

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 雨の日には、雨の日なりの写真を撮る様にすればいいんだよね。

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 そんなふうに考えて写真を撮り始めてみたら、花びらが垂れていて不格好であろうが、少しくらい破れていようがあまり気にならなくなった。花全体を写さずとも、雨の水玉が花に乗っているところを切り取れば良いんだからね(^^。

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 気がつくと夢中になってた。きれいに映えそうなまあるい水玉ばかりを、花の上に探してた。

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 さっきまで僕の頭の中で鳴っていたパヴァーヌもその頃にはすっかり消えて、いつからかバカラックに変わる。ご機嫌好く、『雨にぬれても』の軽やかなメロディーが何度も何度も繰り返し流れてた。


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