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お吸い物にブルゴーニュのピノですか? [そとごはん、そとワイン]

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 8月半ば。ワインで和食が楽しみたくなり、約半年ぶりに都内某所のO(特段名前を伏せなくても好いとは思うのだけど、取り敢えずは今回もイニシャルです。すみません^^ゞ)へと出向く。




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◆Chartogne Taillet Millesime1999 / シャルトーニュ・タイエ ブリュット・ミレジメ

 先ずは乾杯にシャンパーニュ。

 前回も思った事だけど、これから和食をしっかり食べようと云うのにシャンパーニュから始めちゃうミスマッチ感覚がとてもとても楽しい。実際、前回の訪問でこれがミスマッチでも何でもないと気付かせて頂いているのだが、やっぱりどこか意表を衝いているような気もしちゃうんだな。

 ここで飲んだシャルトーニュ・タイエは1999年のミレジメ。やや琥珀掛かった金色に、9年の熟成は如何なる物かとワクワクしながら口に含んでみれば、ドライ・アプリコットのような甘酸っぱさを感じさせ、ちょっと個性的でコクのある味わい。前回このお店を訪問した時には、友人を待つ間に自家製の梅酒を食前酒として振る舞って頂いたのだが、そんな事をふと思い出させるクエン酸系の喉越しのシャンパーニュだった。飲んだ瞬間スッキリ爽やか!と云うタイプでなく、旨味がジワジワ寄せて来る余韻型とでも云ったらいいだろうか。熟成に関する難しい事は僕には分からない。でも、この味は和食のスターターとしてなかなか面白いのではないだろうか。僕は好きな味。


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 先付は小さな小鉢が5品運ばれて来た。もずくの山かけ、煮豆、めかぶの白和え“だた茶豆”や小鰭の新子でシャンパーニュだよ(笑)。でも、合わせても、これに何の違和感も感じさせないのがここのお店の好いところ[わーい(嬉しい顔)]



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お刺身は3種。一番手前の皮つきは金目鯛。ほんのちょっぴり皮目をあぶってある。


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 これはこちらの名物料理で必須アイテムのフォアグラ大根。ほんのり優しい出汁の味が絶妙なのだ。前回食べて、思わずお代わりがしたいと云ったら笑われてしまった一皿(^^ゞ。

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◆Domaine de Souch / Jurançon Cuvée de Marie-Kattalin 2004

 で、こちらにはこのワインをお供に。ボルドーを更に南下したピレネーの麓、ジュランソン地区で造られる極甘口ワイン。極甘口と云って、砂糖水のようにベタベタと甘いだけなわけでなく、ほんのりとした酸味も程良くて、フォワグラにも出汁にもよく合っていてとても美味しい。

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◆Hubert Lamy / Saint-Aubin 1er cru clos de meix 2005

 さて、ここからは白ワイン。大好きなユベール・ラミーだけど、前回も同じ物を飲んでいるので今日は別のワインでも良かった。それなのに、これが最後の1本です、と聞かされてしまっては、あまつさえ店頭で見掛ける事も少ない銘柄。どうにも頼まない訳にはいかなくなってしまうではないか(苦笑)。

 しかし、これが前回飲んだものとは全く違う表情をしたワインだった。

 この日のラミーは驚く程に新樽の木の香がプンプンして、まるで升酒を飲んでいるかのように感じたのだ。あれれ?と云う感じで、僕とラミー・ファンの友人は戸惑いが隠せない。同行のもう1人の友人曰く、これが05年の気難しいところ。元々、本来の飲み頃はずっと先なのは仕方無いとしても、真夏という季節もあり今は完全に閉じてますねとのこと。

 その風味のあまりの違いに、こんなこともあるんだなぁ~と改めてワインの味わい、熟成の個体差に思いを巡らせる。

 でも、これはこれで良い経験。こんなことの1度くらいで、僕のユベール・ラミーに対する好感は全く崩れませんから(^^。


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 小鰭に赤貝。一口サイズの握り寿司を経て


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 今度は野菜の焚き合わせ。さっぱりとした薄味の出汁はゼリー寄せにしてあって、そこには小さな葡萄の実が甘酸っぱいアクセントを添えている。デラウェアなのかな。ワインに強い思い入れのある、この店のご主人ならではの発想。

 ここでユベール・ラミーのボトルは空っぽに。お次は何にしましょうと訊かれて、今食べている焚き合わせと次に頂くお皿に合うようなワインをグラスで薦めて貰うことに。何が来るのかなぁ。

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◆Gevrey Chambertin 1er Cru Les Cazetiers (Pierre Bouree)

 と、思っていたら、運ばれて来たのはなんとジュブレ・シャンベルタン(※うっかりビンテージを記憶し忘れ><)。予想もしていなかったワインが目の前に供されて、僕は吃驚。え~、ブルゴーニュですか~?。

 取り敢えず、その淡めのバーガンディ色したワインを口に含んでみる。

 うん。これは優しい味わいのワインなんだけど、旨味がじんわりじんわり寄せてくる。重くはないけどタンニンも程良く乗ってて、この季節に飲むのに丁度好い塩梅だね。

 で、これで焚いた根菜を頂く。おお、確かに悪くない。でも、次に運ばれて来たこのお椀とは合うのかなぁ~?。 

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 はしりの松茸のお吸い物。僕の過去の経験、感覚では、昆布だしのお吸い物にブルゴーニュのピノだなんて、どうあったって組み合わせられる両者じゃないんだよねぇ・・・(^^;。

 兎にも角にも、松茸椀を一口。

 ああ、これこそ滋味。後から後から押し寄せる旨味。なんと深い味わいなんだろう・・・。松茸と出汁の風味がストレートに表現されていて、本当に美味しい。だけど、シンプルだからこそ有り難く感じるこの滋味に、赤ワインなんて合うのだろうか???。

 そう思いながら、おそるおそるワインを口に流し込んでみると・・・。

 ええっ?、なんだこれ~[雷]。喧嘩するどころか、めっちゃくちゃ合う[exclamation]

 大袈裟でなく、雷に打たれたような気持ちでハッとして、瞳を見開いてしまった。
 信じられない・・・。お吸い物とピノがこんなにも相性が良かったなんて。

 何だか、狐につままれたような気がして、目の前の友人にグラスを渡し味を確かめて貰った。その友人も僕同様「すごく合うね!」と驚いていた。もう1人は、やっと気が付いた?と云わんばかりにニヤニヤしながらこっちを見ている。


 はぁ~~~。
 ちょっとはワインを飲んできた積もりで居たけど、僕なんかまだまだ知らない事だらけなんだなぁ・・・・・・(深く溜め息)。


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 この日の食事の〆は稲庭うどん。

 細めだけど腰のあるのが特徴の稲庭うどんに、芽かぶと切った山芋の乗せて温かい出汁つゆで戴く。日本人なら誰でも笑顔に成っちゃうような組み合わせ。この日のメニューも皆、おいしゅうございました。


 それにしても、この日を境に僕のワイン観は何だか少し変わってしまったかも知れない。気難しくややこしいからと、敢えて嵌らないように手を付けずにいた部分(=ブルゴーニュ)に、これでいよいよ自ら近づいて行ってしまいそうな予感が・・・[たらーっ(汗)]

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