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横浜美術館でランチ / Brasserie T's Musee [そとごはん、そとワイン]

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 世間はお盆休みのシーズン。都内在住の友人がその日の朝にメールを寄越して、横浜美術館で開催中の『フランス絵画の19世紀展』を観に来るつもりだと云うので、お昼過ぎから付き合う事にする。

 実はこの展覧会は、僕もその友人も別々の機会に1度鑑賞済み。ただ、僕は今年に入ってからと云うもの、ドミニク・アングルに改めて強く惹かれているため、彼の『パフォスのヴィーナス』が出展されているこの展覧会のテーマ(印象派と前後する時期のアカデミスム絵画)は現在とても強く興味を持っている部分であり、8月末の閉会迄に必ずもう1度観ようと決めていたもの。友人も元来のフランス絵画好きに加え、前回これを観たのは6月の中旬と、既に大分時間が経っている事もあって再度観直しても好いかも、と思っていたらしい。





 待ち合わせしたのはみなとみらい駅で13時過ぎ。
 友人はこの日、朝から昼までの用事が1つ有ったそうで、お昼ごはんがまだ。で、どうせ横浜美術館に行くのならと、もう1つ目当てとして行きたい場所(=レストラン)があるのだと云う。

 それは横浜美術館に隣接するブラッスリー・ティーズ・ミュゼ(Brasserie T's Musee)。店名の“Musee”は美術館のこと。前を通る度以前からずっと気にはしていたけど、僕も未だ入った事がないレストランだ。

 友人は以前どこかのblogだかサイトでその存在を知り、展覧会のついでに寄ってみようと一度試みたそうなのだが、建物が別棟になっている事を知らなかった為に辿り着けず、勘違いして美術館内の別のカフェ(どうやら“小倉山”のことらしい)へ行ってしまったそうで、結局はその“ミュゼ”では食べられず仕舞い。だから、是非ともこの日のランチでリベンジしたいと初めから考えていたそうなのだ。

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 因みにこれがそのレストランの建物外観(写真は今年の春、モクレンの咲いていた季節のもの)。このすぐ右並びに美術館正面入り口も在る。

 ご覧のとおり、営業時には店の正面にはフランス国旗の入った店看板も、テラス席もこうしてテント付きで出されているので、どうして探し当てられなかったのかが摩訶不思議なくらいなんだけどなあ(^^;。

 友人はお店の入り口を目の前にして、「え~っ、ここだったんだぁ~」と一言ポツリ。さすがにちょっと気恥ずかしそう。あはは(笑)。


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 店内はかなり奥行きが有って広いお店。重厚な、と云った雰囲気ではないが、エンジ色のカーテン、茶系濃淡2色のストライプになったファブリックの椅子など、シックなカラーリングで落ち着いた雰囲気がする。突飛なアート感覚を意識せずに中庸である事を良しとするなら、ムードとしては悪くはない。入り口を背にした右側は中央部分の全面が大きなガラス窓となっており、自然光がたくさん入るのも開放感が有って気持が好い。僕らも、このガラス窓のすぐそばのテーブルに案内された。


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 ランチ用にグラスでオーダー出来るワインのライン・ナップはあまり選択肢が多くなかったものの、お昼からそう贅沢も云うまいと、クレマンを注文すると、残念ながら冷えた物が丁度切れてしまったところだそうで、急ぎ冷やしてはいるものの、まだお出し出来る温度ではありません、とのハナシ。「あらら、どうしようね」なんて友人と顔を見合わせていたら、サーヴィス担当の女性が「栓を開けてあるシャンパンがございますので、代わりにこちらをどうぞ」とポメリーを持って来てくれた。うわ~、これは嬉しいサーヴィスかも。さらに、「残りがもう僅かですので注ぎきってしまいますね」とグラスになみなみ[ハートたち(複数ハート)]。ありがとう~[わーい(嬉しい顔)]

 ここのところすっかり大手のシャンパーニュを口にすることが少なくなっていたので、久々に飲んだなぁ、ポメリー。おそらく、2年前の自分の誕生日祝いの会で“サマー・タイム”を飲んで以来で、スタンダードなブリュットになると、もうまるで思い出せない。一体いつ以来だろう。

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 メニューはプリフィクス・スタイルで、基本が前菜+主菜+コーヒーで2000円。きちんと数えて記憶して来たわけではないけど、それぞれ7~8種くらいの中からのチョイスでフォワグラなど素材によって値段がアップ。デザートは+500円でオーダー出来るシステム。友人はエビと鶏肉のテリーヌをオーダー。表面の黒いソースはバルサミコ。一口分けて貰ったけど、プリっとした歯ごたえを残したエビと、白レバー(?)のような風味の鶏が掛け合わせてあって、濃厚な様でいて決して重たくはない。白ワインがとても良く進みそうな味だよね(^^。


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 僕はさっぱりとスズキのカルパッチョをオーダーする。お刺身のツマとまではいかないけど、千切りにされたダイコンとその下にはフレッシュなトマトが刻まれて、更にその下にスズキの身。カルパッチョと云うよりは野菜のボリュームが遙かにたっぷりしていて、大凡大根サラダそのものと云った気がしないでもないけど、これはランチのお皿だから仕方ないよね(^^;。ドレッシング風のソースは酸味が抑えられていて味が穏やかな分、刻まれたトマトを一緒にすると、その酸味で味のバランスが自ら調節出来る様な仕組みになっていて、これがなかなか美味しかった。


 僕は暢気に写真など撮っていたのでそんなに飲んでいなかったのだけど、お昼からのフレンチ+ワインなんて行為に普段から抵抗感のまるで無い友人のグラスはハイ・ペースでさっさと空に(^^;。

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 と云うことで、今度はもうクレマンも冷えていると云うので彼女だけ泡を1杯追加。シャルドネだけのキュヴェらしく、ポメリーと比較したらコクが無い!だなんて云ってたけど、さっきの1杯はあくまでお店のご厚意ですからお忘れ無く(笑)。


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 メインは僕がラムのコートレット。

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 友人は子羊のステーキ。
 実はこれは、友人がコートレットとステーキのどちらにするかでずっと悩んでいたので、それならその2つをオーダーしてシェアしちゃおうと云う作戦。

 コートレットは所謂カツレツのようなものなワケだけど、これは刻んだミニトマトがソースになっているのでかなりさっぱりとした一品。骨付き肉1本なのでボリューム的にもかなり軽い。付け合わせはまたもや野菜がたっぷりだけど、おなかがペコペコな男性だったら少々物足りなく思うかも。

 一方、ステーキの方は+500円なんだけど、骨付き肉が2本になるのでこっちの方が断然お得度が高いね。


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 「暑い夏でも構わず赤が飲みたいね~」がこの日の僕と友人の共通した気分。ただ、ここでもやはりグラス・ワインは選択肢が狭い。フランス・ワインはメルロ+カベルネ・フランのボルドー(サンテ・ミリオン)1種のみ。2人して同じワインを飲むより他の物も試してみようと、やはりこちらも1種しかないイタリア・ワイン、ドルチェット・ダルバを1杯ずつ頼んでみた。

Clos Badon(2006)はメルロ主体らしく穏やかでスムースな口当たり。今の季節でも決して嫌味のないボルドー。対して同じヴィンテージの若いドルチェットはタンニンをしっかり感じてちょっぴり荒っぽい具合。ほんのりと微かな苦みも。この2つだと、前者の方がハッキリと好みだったかなぁ。

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 友人はデザートに軽くアイスクリームを。僕は朝食が9時過ぎだったので結局あまりたくさん食べられずデザート抜きだったのがちょっと残念。それでもこれでコーヒー飲んで2000円(もちろんワインは除いて)。お昼の過ごし方としては充分に満足出来ちゃうなぁ~。このお店なら、次回は1匹でも来られちゃうかも(^^;。シャンパンのサーヴィスのお陰で、とても良い気分で食事させて貰えたから、僕も友人も満足。こんな些細で単純なことで、お客はまたここへ来て食事しよう、って思うんだよね[わーい(嬉しい顔)]


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 さて、話題をガラリと変えて、肝心の展覧会のハナシをここでも少しはしておきたいのですが、好きな作品がたくさん有りすぎて、まともに書き始めたらかなりのヴォリュームになってしまいそう。因って今回は企画展とは別に、横浜美術館のコレクションの中から、現在常設室に展示されている、ちょっと面白い作品をご紹介しておこうと思います。以前、ピカソのお手本になった画家としてドミニク・アングルをご紹介しましたが、今回もまた「お手本」と云う観点で取り上げています。


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 これは、この日会った友人と先日話していたときにも偶々話題に上ったルネ・マグリットの作品。

 僕のブログで以前に取り上げたベルギーの画家、ジャン・ミシェル・フォロンhttp://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2007-05-31)の事を覚えている方もおられることでしょう。

 そう、ジャズ・ギタリストのスティーヴ・カーンのアルバム・ジャケットの絵を描いているあのフォロン。彼がアートの世界を目指したきっかけは、彼と同じくベルギーに生まれたシュール・レアリスムを代表する画家、マグリットの展覧会を偶然に観たことによってでした。フォロンの代表作として何度も彼の作品に登場する帽子の男・ブル-・マンは、マグリットの影響を強く受けて誕生したと云われています。


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 そのマグリットは、素朴派の画家であるアンリ・ルソーを深く敬愛していました。

 そんなことで、横浜美術館にあるこの絵(色々写り込んで見難い写真ですが^^;)を観て、僕はここに描かれている石碑の文字が、てっきりルソーの名前なのかも!と思ってしまったのですが、ここに記されているのは“ROSEAU”。家へ戻って調べたら、アンリ・ルソーのスペルは“ROUSSEAU”。これはちと早合点でした・・・(^^ゞ。

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 でも、こちらはちゃんとお手本有りですよ。マグリットは立体のオブジェも作っていたのですね。

 で、これはまぁ、お手本と云うよりはほとんどパロディーに近いのですが、答は以前、やはり僕のblog中で紹介した作品なので、ちょっと考えてみて下さい。ヒントは、今回の19世紀のフランス絵画展の目玉作品である『パフォスのヴィーナス』を描いたドミニク・アングルの代表作、『グランド・オダリスク』のお手本とされ、やはり美しい女性が描かれた作品。正解の画像はこちらのページに載せてある一番下の作品をご覧あれ。結構笑えますよ。


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 結局、横浜美術館には18時の閉館まで滞在。
 ランチを終えたのが15時半過ぎと遅かったので(ハッキリ云ってのんびりしすぎ・・・苦笑)、まだおなかも空かず、適当なカフェでカヴァを飲んでアペリティフ。その後はランドマークタワーへ移動して、窓から夜景が見えるお店へ。ここでは友人の希望でビールのハーフ&ハーフ。お店のメニューには無かったのに、ハートランドとギネスで特別に作って貰ったもの。気軽に使える感じのお店だったけど、目の前には大観覧車のイルミネーションと日本丸。ロケーションが好いので友人は結構喜んでたみたい。たまにはこんなふうに過ごす1日も悪くなかったね。

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