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あとづけ日記 /『幕末明治の超絶技巧展』と『約束の葡萄畑』と [いつかの出来事]

2010年12月05日

 この日のことは、既にオーバカナルのランチの話をアップしてあるのだけど、今回はそれ以外のことを追記。一日に詰め込むには随分と盛りだくさんで、気分は少々慌ただしかったりもしたけれど、最近になくとても楽しい1日だったから。

 先ずはお昼前からtaekoねーさんと待ち合わせて六本木一丁目の泉屋博古館へ向かい、『幕末明治の超絶技巧』と云う金属工芸の展覧会を鑑賞したのは前回にも触れた。ここから改めて遡っておこう。

 泉屋東京は展示室2つの小さな美術館なので、1時間もあれば満足できるだろうと思っていたけれど、とんでもない。それらの造形に施された余りに緻密で高度な匠の技術に驚かされ続けて見入る内、最初の1つめの展示室を見終わらない内に、あっと云う間に、設定したその1時間は過ぎてしまった。

 この時点で、もう一人の友人Jとのランチの約束に、美術館を出ない内に既に遅れてしまっている始末(^^;。とは云え、待ち合わせしている場所は今いる場所から徒歩数分で着ける店。泉屋博古館は再入場が可能と聞き、食後に2つ目の展示室を鑑賞する事として約束の店オーバカナルへと向かう。

Henri Bourgeois.jpg

 そうしてランチ後。今度はJも一緒に引き連れて再度泉屋へ。 考えてみたら、彼女と美術館に来たのはこれが初めて。いや、何年か前に、お茶代わりにワインを飲む為だけに西洋美術館のレストラン(“すいれん”ね)へは行った事もあったっけ。僕等はワインが無くっちゃ始まらない付き合いだったものね(笑)。

 そのJは年が明けたら早々にフランスへ渡る。元より仕事の関係で1年の内半分をフランスで過ごす様な彼女だけど、今回は特別な渡仏。何故か僕には内緒にしてるらしいけど(笑)、おめでたい事に、彼の地で見そめられて、この度お嫁に行く事が決まったそう。そうしたら、これから先はずっとフランス暮らしになるわけで、だったら立つ前に、こんなにも素晴らしい日本の名工たちの作品を、その目に焼き付けていくのも悪くないじゃない(^^。

幕末明治の超絶技巧展_03.jpg
『菊尽香炉』 / 雪峰英友(せっぽう・ひでとも)

 「フランス人に多くの愛好家を生んだジャポニスム。明治の日本のアルチザンもなかなかのものだと思わない?」

 いつになく神妙な顔付きでガラスケースの中を眺めるJに、そう話し掛けると、「うちの実家にね、こんな似た様なの、有った気がします~」などと、しれっと云う。「ほんとか~~~?」と笑いながら返すと、「ほんとですってば~。ま、あくまで似た様なんですけどお~」だって。それも、ニカリと笑っておどけた顔で云うから、まったく、どこまで本当なんだか冗談なんだか(笑)。




 この後、タクシーで国立新美術館へ向かいゴッホ展を観て、更に今度は渋谷へ移動。映画『約束の葡萄畑』を観る。

約束の葡萄_ポスター.jpg

 ワイン栽培が題材の映画と云うこともあるけど、ニュージーランドの女流監督であるニキ・カーロの作品と云う点でも興味を惹かれていた。『クジラの島の少女』の監督ですね。少女の成長を温かく丁寧に描くその手法は、僕の好きな映画作品である『ビヨンド・サイレンス』のカロリーナ・リンクとも近い感覚がして、この映画も是非観てみたいと思っていたもの。

 『クジラの島の少女』も超現実的なプロット(少女が部族の正当な族長の資格を持つ者として、クジラを導いたり、海の声を聞く特殊な能力を持つと云う設定)を含んでいたけれど、今回の『約束の葡萄畑』にも堕落して地に降りた天使が登場したりと、ファンタジーを含んでいる。ただ、今回はその天使と主人公が妖しく甘美な関係に落ちて行きそうになるなど、ボーイズ・ラブと云うかバイ・セクシャルっぽい部分もあって、まるでそこだけは『蜘蛛女のキス』かと勘違いしちゃう様なオトナ向きな作りではあったけれど(^^;。


 ところで、Jはワインの専門家なので映画の舞台であるブルゴーニュの現地事情にとてもとても詳しい。実際、ワイン生産者の元に泊まり込み、前述したとおり1年の半分くらいを彼の地で過ごすくらいに。そんなだから、映画の中で赤ワイン(ピノ・ノワール)の畑だとして撮影されている畑がどこどこの生産者の所有だとかいちいち判ってしまうらしく、実際はシャルドネ育ててる区画の畑じゃん!インチキだ!とか、それはもうけちょんけちょん[たらーっ(汗)]。あのさ、これはドキュメンタリーじゃないんだから、そんなトコは大目に見てあげなさいってば(苦笑)。


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 映画の後はVIRONへ寄り道して一杯。ブルゴーニュだとJが映画の話題を引っ張って延々と文句の垂れ流しになりそうなのでアルザスを(笑)。


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 盛りだくさんで楽しい一日だったね[わーい(嬉しい顔)]

 

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