花備忘録 / 2022年06月(ハナショウブ編) [花図鑑]
6月に入って、今年も我が家のハナショウブたち5種が全て咲いてくれました。昨秋、久し振りに株分けと植え替えを行ったのですが、株分けの推奨期は本来なら花後すぐ=6月終わり~7月頃と云われていますので、ちょっとイレギュラーな時期でした。それ故上手く咲いてくれるか若干の不安も有りましたけど、よかったよかった。
2022年06月04日(土曜)
今年のハナショウブ最初の開花は同時に3種(^^。
九重の桜(ココノエノサクラ)が2輪、長井紅千両(ナガイベニセンリョウ)も2輪、朝戸開(アサトビラキ)の1輪が先ず咲いてくれた。内、紅千両と朝戸開は株分けして植え替えた分から。九重の桜は株分けも土換えもしない、手を一切着けなかった鉢から。本来、ハナショウブと云う植物は連作障害が有るとされているので、長く植えっぱなしはダメなハズ。菖蒲田の様な環境下でも2~3年に一度は絶対必要なんだって。ですから、偶々ウチでは未だ問題が起きていないだけで、決して褒められた状況でないのは重々自覚して居ります(苦笑)。
下 ↓ の写真は新芽が活動し始めた3月末に撮ったもの。
昨秋、分けた株は当初、素焼きの5号鉢に1株ずつ植えようと用意した。実際そうし始めて4鉢ほど植えてから思った。この小さな鉢を最終的には一体幾つ並べる事になるんだ?と。そう考え始めたら俄に面倒(^^;に思え始めて、結局、横長のプランターに5株ずつ植えるよう方針転換。
そう深くはないタイプのこのプランターは前後に水抜き穴が1つずつしか開いていない水保ちが良い(=水捌けが悪い^^;)物を選んだ。乾燥対策として底面吸水出来るよう、下には水受けトレイを置く。土は赤玉土の小粒のみを使用し、鉢底石も使わない。休眠期に入る直前の時期なので元肥も一切入れなかった。
プランターは4つほど新しく用意したが足りず、古いものを1つ。写真右に写っている丸い鉢3つはニホンスイセンやブルーベルがいい加減に長く植わっていたもの。これらは直径3cm程度の排水孔が1つのみ開いた鉢なのでやはり水が抜けにくい。これを機会と掘り返し、整理してハナショウブ用とした。1鉢に4株ほどを植え込む。
(撮影:3月27日 ※上2枚とも)
無計画に分けた株がそこそこの数だったので、最後の方は余っているやや小振りなプラ鉢を総動員(苦笑)。
「親水性が高い植物だから」とのイメージに長い間ずっと囚われていた。だが、どうやらそれは思い込みに過ぎなかったんだと最近気づかされた。ハナショウブと云えば、水の張られた菖蒲田や池の周りに咲く映像の刷り込みが強過ぎるんだ(^^;。
この写真 ↑ は2020年撮影。株分けをサボっていたので小さな鉢の中がとても混雑しているのがよくお判りいただけると思います(^^;。
昨年まではこんなふうにプラ鉢を焼き物やプラスティックの受け皿などの上に置き、受け皿の中にはいつも水が少なくとも2~3cmは溜まっている様な状態にして育てていた。だけど、これだとボウフラの発生に気をつけなくてはいけなくて、2、3日に1度は受け皿の水が全て入れ替わる様にしてやる必要があった。正直に云えばそれを全ての鉢で行うのは、とても面倒だったなぁ。だけど、そうして水に浸けていないとハナショウブは生きてゆけない、枯れてしまうんだと思い込んでしまって、それを疑う事もなかったから。
◆『花菖蒲』(1934) / 福田平八郎 京都国立近代美術館蔵
まぁハナショウブと云えば、こんな絵の様な咲き姿をおそらく多くの方が思い浮かべるのでしょう(^^。近い種類でありながらカキツバタは湿地だとか水辺でなければ育たない。僕も含めて皆、ハナショウブも同様なんだとイメージ付けて、勝手にそう信じ込んでしまっているんだなぁ。
ところが実際は、乾燥に強くない事自体に間違いはないのだけれどが、水を張らない畑の様な環境の方がしっかり根を張って丈夫に育ってくれるんだとか(参照元→タキイ種苗のサイト:https://www.takii.co.jp/flower/howto/lecture/s_p33.html)。
だからこれまでは、3月の声を聞いて新芽が活動を始めたら、上の写真の様に深めの鉢受け皿を用意して、そこに水が溜まる位に、・・・と、所謂”腰水”を意識して育てて来たのだが、今年はそれを改めた。ジャブジャブと浸す様な水遣りはせずに、土の表面が乾いていたらたっぷりと、って具合に。要は、他の「水をたっぷり必要とする」植物たちと同じ程度。過去これまでと較べたらかなりドライ気味になる。
それでもこうして、枯れることなく育ち、花を咲かせてくれた。肥料は緩効性粒状の物を置き肥としてぱらりと3月末と5月半ばに1度ずつ、水で薄めた液肥を10日に一度くらいのペースであげた程度。
◆九重の桜(ココノエノサクラ)
◆朝戸開(アサトビラキ)
◆長井紅千両(ナガイベニセンリョウ)
結論として、ハナショウブは水の張られた田んぼやビオトープみたいな環境にしなくてもちゃんと育つし咲いてくれる。それも、普通のプラ鉢やプランターで。そして、同じアヤメ科のジャーマンアイリスの鉢栽培などと比較したら、毎年コンスタントによく咲いてくれる。株分けも特に難しくもなく、とても育てやすい植物だと僕は思う。
育てている全5種中残りの2花は、清少納言が6月10日に、五月晴が12日に咲いた。
◆清少納言(セイショウナゴン)
和歌・漢詩など文学に豊富な知識と才能を有した女性、清少納言はなかなか勝ち気な女性であったそうなので、その点でこの花に付けられた名には、僕はやや違和感を感じます。もっと楚々としたイメージではないかと・・・(^^;。
この花の、淡く儚げな水色が好きだなぁ。
ついつい、いろんな花が欲しくなってハナショウブも5種揃えてしまったけど、シンプルにたった1種類だけ、この水色の花だけがたくさんに咲いてくれるのも素敵だったかもなぁ・・・なんて空想もしてみたり(^^。
◆五月晴(サツキバレ)
五月晴はそもそもが遅咲きなのか、いつも一番最後に開花する。その様がいかにもおっとりとした末っ子の様に思えて可愛らしい(^^。
(撮影:6月10日)
(撮影:6月18日)
これは上で3月の状態の写真を載せた同じ鉢のその後。株を分けた段階では品種が分からなくなっていたのだが、清少納言が咲いてくれた。
(撮影:6月18日)
最初の開花から2週間が経った。咲いてたった2日くらいであっと云う間に萎れてしまう保ちの悪い(^^;花だけど、入れ替わり立ち替わり咲いてくれるので充分に楽しませてくれる。