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Sensual / "SALVE" [jazzっぽいの、好き?]

Sensual_Slave.jpg

Artist : Sensual
Title : "SALVE"
Release : 2008
Style : BPM (=Brazilian popular Music) / Adult contemporary(female Vocal)
jazzっぽさ・・・★☆☆☆☆ (1/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ


 一見久々の音楽ネタのようなフリして、実は前回の青いカバのキー・ホルダーに引き続き、またもやおみやげネタだったりします(^^ゞ。ありがたくも、今回頂戴したのはオランダからの音楽CD[CD]。Eva Kieboomと云う女性ヴォーカリストを擁する5人組、Sensualの2008年作です。どうやら、ここ日本では国内盤発売はおろか輸入盤でさえ入荷していない模様で、少なくとも大手の量販型店数社でnet検索しても、一切情報が引っ掛かりません。ひょっとして、今のところ僕の手元にあるCDが日本で唯一の盤だったりして?(さすがにそんなコトも無いとは思うけどね~・・・[わーい(嬉しい顔)])。



 

 このアルバム、そもそもはかの地にご在住のInatimyさんに、このブログのコメント欄で教えて頂いた作品だったのですが、アーティストのオフィシャル・サイトに行って試聴してみると、これがなかなか好みのヴォーカルとサウンド。その時点でかなり気に入ってしまいました。が、どう調べてみても日本の一般小売店では扱いが全く無い模様(但し、HMVでなら前作『Acostico』が購入可能)で、海外サイトを使う以外には手に入れ様が無さそうです。ですから、この時はどうにかしても必ず手に入れようなんて、ゆめゆめ考えてもいなかったのです。他意無く、単純に頂いたコメントの返信として、いいな~、このアルバム欲しいなぁ~[揺れるハート]と書いたのですが、これが結果として、この度日本に一時帰国することとなったInatimyさんに大変なご迷惑(=おみや)を掛ける要因となってしまいました(汗)。本人、至ってそんなつもりじゃなかったんですが、ほんとに申し訳ありません~(><)[たらーっ(汗)]


 楽曲は全11曲中、スティービー・ワンダーのカヴァー⑧を除く10曲がポルトガル語で歌われるオリジナル曲で、サンバ等の軽やかなブラジリアン・リズムをセンス良く溶かし込んだそのサウンドは、素地としてジャズやフュージョンのカラーを感じさせるもの。黙って聴かせられたら、きっと誰もオランダのグループのアルバムだとは思えないでしょうね。インナーの写真を見る限りは全員20代半ばくらいに思える若いバンドですが、「jazzっぽい」音楽を嗜好するワタクシとしては彼らの音は、ばっちりのストライク・ゾーンです[るんるん]

 軽快な16ビートでスタートする①では、弦楽器をやっていた人なら先ずメロディアスに弾むベースに耳が行くんじゃないかな。プレイしているのはメンバーのSteve Happelと云うベーシストですが、このベース・サウンドを聴いただけで、「おっ、ただのポップ・ユニットじゃないな!」と思われるハズ。生ドラム、パーカッションと共に、グイグイとテンポ良く曲を引っ張るボトムの隙間は、コードを奏でるローズがシンプルに埋め、モノ・フォニック的なシンセの使い方も適度に70~80年代っぽさを感じさせてくれるなど、mellow groove系が好きなAOR世代にも十分訴求力が有りそうなサウンド・センスです。このキーボディスト、Emiel van Rijthovenがバンドのキー・マンのようで、プロデューサーのクレジットも彼の名前が単独で記されています。

 一転してしっとりと落ち着いたバラッドの②は、歌詞の単語を断片的に追っていくとなかなかに詩的な愛の歌の模様。ブラジルのポップ・ソングには、1964年から85年まで続いた軍事独裁政権下にあった影響からでしょうか、文学的と云うか、非常に婉曲的な比喩表現を用いた詩が多かったりするものですが、ひょっとしたら彼らは作詞面でもそう云った時代のブラジル音楽の影響を受けているのかもしれませんね。ま、兎にも角にもポルトガル語がほとんど解らないのが悲しいです[もうやだ~(悲しい顔)]。誰かちゃんと訳してくれる人いないかなぁ~。

 ヴォーカル、Evaの歌声は取り立てて個性的ではないものの、誰が聴いても嫌味を感じさせない声質。中音域が伸びやかで、女性的な甘さよりは爽やかさが引き立つタイプかな。ベタつかないので夏向きの声と云ってもイイかもしれません。例えば、ゲスト・ミュージシャン、ギタリストのAntone Goudsmitのフルアコ・カッティングとローズの響きが混じり合う、心地良いジャズ・ワルツ的な③でのヴォーカルなど、時にはバーシアを思わせる瞬間もあって、その朗々とした歌いっぷりにはとても好感が持てます。ちなみにこの曲は、タイトルもそのまま日本語に訳せば“アムステルダムの夏”。②でも「アムステルダムの海に橋を架ける」なんて一節があるけど、彼らはアムステルダムっ子なのかな?。

 なお、彼らのオフィシャル・サイトを経由したYouTubeでこの曲のリハーサル・セッションの一部、②“UMA PONTE”のライブ・ステージの模様などが動画で観ることが出来ます。後者は固定パンのビデオ・カメラの前を無邪気に遊び回る子ども達が平気で横切る、至ってのどかなもの(笑)ですが・・・。

Official Site → http://www.bandasensual.com/ ※MP3による高音質試聴が出来ます。
[映画]YouTube → http://nl.youtube.com/profile?user=evakieboom

 以下の楽曲はまとめてご紹介。

 ⑤は軽快なサンバで、カルロス・ジョビンを彷彿させる。続く⑥、⑦はともにしっとりとした歌い口のミディアム・ナンバー。⑧は前述のスティービー・ワンダーのカヴァーで、ハモンド・オルガンのスカスカしたエア感を生かしたソフト・レゲエ調。⑨は3管ホーンと甘い調べのナイロン・ギターをフィーチャーした、ちょっぴり熱いダンス・チューン。⑩はEvaによるポルトガル語のラップ(?)も聴かせるアップ・テンポ。ギターによる16分カッティングが入るせいか本作中一番にフュージョン的なアプローチを感じさせる。⑪アルバムの最後はたっぷりの哀感を湛えた美しいバラッドで、センチメンタルな音色のミュート・トランペットの音色が全体を支配する。ピアノはアコースティック・サウンド、ベースはアップライト、リズムはブラシで刻まれるジャズ・ナンバー。

01. O Desejo
02. Uma Ponte
03. O Verao em Amsterdam
04. Preludio de Tique-tim
05. Tique-Tim
06. Adao e Eva
07. Saudade
08. I Can't Help It
09.Quero Pirar
10. Salve Soul
11. Bola de Neve

SENSUAL :
Eva Kieboom / vocal
Emiel van Rijthoven / keyboads
Sven Happel / bass
Jasper Van Hulten / drums
Gijs Anders van Straalen / percussion

Guests :
Anton Goudsmit / guitar
Eric Vloeimans / trumpet
Markus ilmari / acoustic guitar

Producer :
Emiel van Rijthoven

[CD][るんるん]2009年、国内Amazonでも取り扱い始まりました!

Salve

Salve

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2008/08/19
  • メディア: CD




 

 さて、最後にちょっと脱線しますが、ヨーロッパ発のブラジリアン・ポップで、唯一演奏しているカヴァー曲⑧が、かつてマイケル・ジャクソン『OFF THE WALL』(1979)で取り上げていた曲とあって、ここから僕は90年代半ばに日本でも3枚程アルバムをリリースしていたBrazilian Love Affairを思い出しました。こちらはブラジル生まれのイタリア育ちと云う女性ヴォーカリスト、ディレーネの1人ユニットで、その名はウルサ型が好むサウンドで、今もブラジリアン・スタイルのフュージョン作品としてつとに評価が高いジョージ・デュークアルバム(1979)のタイトルと同じもの。また、スティーヴ・ポーカロがTOTO在籍時にマイケルに書き下ろしたメロー・チューン“NATUREZA HUMANA(HUMAN NATURE)”やTOTO自体の人気ナンバーである“GEORGY PORGY”をカヴァーしていたこと等もあって、一部のブラコンやAOR系のファンからも注目されたものでした。オランダで彼女(=Brazilian Love Affair)のアルバムがリリースされていたかどうかは分からないけれど、Sensualはこれととてもよくコンセプトが似ている気がします。両者は名前からして、「情事」と「官能」ですもんね(^^;。

 丁度昨年の年末、このBrazilian Love Affairの1stアルバムが12年振りにアナログ・ビニール盤で限定再発!なんてニュースもあったくらいなので(要はダンス・フロアでの需要があった、ってコト)、同系統のコンセプトを持つこのSensualのアルバムも、日本できちんと紹介されれば、結構良いセン行きそうなんですけどねぇ。一度、友人の某LM師匠に聴かせてみようかしらん。


[映画]Blazilian Love AffairのYouTube動画、“Natureza Humana”のPV。こんなのあったんだ~、僕も初めて観ました[exclamation]http://jp.youtube.com/watch?v=y_chvUox1BQ

[CD]96年、98年作をまとめた2in1アルバム

Uma Brasileira/Rio de Janeiro Blue

Uma Brasileira/Rio de Janeiro Blue

  • アーティスト: Brazilian Love Affair
  • 出版社/メーカー: De Janeiro Blue
  • メディア: CD



[CD]2000年にリリースされたベスト盤

Best of Brazilian Love Affair

Best of Brazilian Love Affair

  • アーティスト: ブラジリアン・ラヴ・アフェア
  • 出版社/メーカー: トライエム
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: CD



タグ:jazz AOR
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TaekoLovesParis

前記事「青カバ」のコメント欄で、yk2さんが
<レビューなんていちいち書くワケないっしょ!、CDじゃあるまいし>
と、書いてらしたすぐ後に、Inatimyさんが、
<ということは、CDだったら、レビュー書いてもらえるのかしら・・・>
と、続けてらしたので、「ナイスタイミング!」さすが機転のInatimyさん、と
思ったのですが、ほんとに、記事になったんですね~!
ひょうたんからこま?
しかも、こんなに本格的に書いてもらえて、Inatimyさん、よかったですね。

最初の3曲、試聴しました。
1曲目、Desejo、サンバのリズムが心地いいですね。波のうねりのようなギターの音色で海の底にもぐって行き、パーカッションのリズムで徐々に浮かびあがると、元気なヴォーカルが聞こえてくる。残響音、エコーが海にいる感じを盛り上げてくれますね。遠くに島が見える感じで、これ、気に入りました。
Evaさんの声は、素直でのびやかで幅もあり、健康的な感じ。
<アルバムの最後はたっぷりの哀感を湛えた美しいバラッド>
→これも聞いてみたいな。

by TaekoLovesParis (2008-05-27 00:29) 

pace

今やオランダはジャズのメッカです
古くはパリでしたが
アン・バートンもオランダだね
by pace (2008-05-27 01:43) 

怪鳥

ご無沙汰してマス。
コメントはせずとも、更新される度にチェックはしてますよ。
久々にAORとかブラコンというフレーズが登場しましたね(笑)
これからはブラジリアン・サウンドが気持ちいい季節、
ワタシも何か“自分だけの一枚”を探してみます。

by 怪鳥 (2008-05-27 16:19) 

yk2

nice & コメントありがとうございます

◆taekoさん :

ひょうたんから駒って云うよりも、すばり“課題”って感じでしたね。書かなきゃいけません!って雰囲気が漂いまくってましたから。頂き物してるので立場弱いし・・・(苦笑)。

このアルバム、多分taekoさんも好きな路線だと思いますよ。今度お貸し出し致しますので、得意の語学力駆使して、是非ポルトガル語詞の解読をよろしくお願いします。taekoねーさんなら、ちょちょいのチョイでしょ?。

◆paceさん :

ただいま“BLUE BURTON”play中です(^^v。
聴く度いつも思うのですが、これが40年前の作品とは思えないんですよね~。色褪せないと云う意味で、ジャズはすごい音楽だと改めて思います。

オランダのアーティスト、僕はあんまり数は持っていませんが若手に有望な人が多いようですね。僕はギタリストのジェシ・ヴァン・ルーラー、マタイン・ヴァン・イターソン、女性サックス奏者のティネカ・ポスマが気に入っています。

◆怪鳥さん

ワタクシだって怪鳥さんトコは読んでますってば!。
つい先日も、TOTOのパンフでどうしてオフコースの松尾一彦氏が執筆を?、ってネタでコメントしたかったのですが、あまりにご無沙汰続きで躊躇ってしまいました(^^ゞ。

ちなみにあれは、もちろん松尾さんがあの時期TOTOを気に入っていたと云うこともありますが、ボズの『MIDDLE MAN』のプロデュースを手掛けたビル・シュニーがオフコースのミキシングもしていた繋がりで、友達とまでは行きませんが、両バンドのメンツは面識があったのですよ。も1つ、ついでに書くと、当時オフコースはスタジオ・リハーサルで時々突発的に“GOODBYE ELENORE”などTOTOのナンバーを演奏して遊んでたそうです。たまたまその場面に遭遇した音楽雑誌記者が、あんまりにも上手くて吃驚した、と云う記事を読んだことがありんすよ。

by yk2 (2008-05-28 00:10) 

Inatimy

yk2さん、迷惑だなんてとんでもないですよ。
どうしても聞いていただきたくって押し付けたようなもんです♪
(それに、こちらこそ、スゴイものを頂いてしまって・・・。)
ふふ、それに、どんなレビューになるのか、読んでみたかったし♪ 

早速、“課題”のレビュー書いて下さって、ありがとうございます♪
ほぉ~、そうだったのか・・・ってふんふんと読ませていただきました。
Taekoさん、本当にうれしいです、これ。

橋のあたりのフレーズですが、たぶん:

「アムステルダムからサルバドールまで、私は海に橋をかけるわ。
ただ、あなたといるために。
危険なことや、嵐、風や海に直面しても、
ただ、あなたと一緒にいるために。」

・・・みたいな感じかも。 スペイン語知識を応用しての解釈なので、多少ハズレかもしれませんが。 

あ~やっと、今回、少し長いコメント、書けました。

by Inatimy (2008-05-29 06:22) 

yk2

Inatimyさん、こんばんは。

あらためて、CDありがとうございました!、です。
こちらは少しもスゴイ物は差し上げてませんが、今回トラチちゃんにお裾分けは行ったのでしょうか?(笑)。

歌詞、教えて下さって感謝です。文法はまるで知らないし、辞書持ってるワケでもないし、ここでのサルバドールがバイーアの地名なのか、それとも救世主にちなむ別の何かなのか、結局判断着かなかったので、敢えて触れないよーにしてました(^^;。やっぱりスペイン語解ると、だいたいのニュアンスは理解できちゃうのですね。羨ましいな~。

長いコメントなんて、ちっとも意識することないのに(笑)。
by yk2 (2008-05-29 22:44) 

pistacci

ここはコメント無しで~と思って試聴をポチッとしたら、とてもいい音なのでびっくり。

ブラジルはポルトガル語?
先日、仕事場にブラジルの方がみえたけれど、全然言葉が通じなくて、(当たり前?)前日に『想定問答集』を用意した上で、英語のわかるご主人を通訳として会話・・なんていう体験しました、ヽ`(~д~*)、ヽ`…(汗)
日本語もあやしくなってきているのに、英単語はさらにでてこない~~!
言葉がわからないのに、日本で働いている彼らのたくましさには、感動。
・・軽快な曲を聴きながら、ぜんぜん記事に関係ない話でした~(^^;;;

by pistacci (2008-05-31 12:16) 

yk2

pistacciさん、コメント無しで~のつもりだったのに、スミマセン(笑)。

ブラジルはアメリカ大陸で唯一、ポルトガル語圏の国ですね。
ですから、ボサノヴァやサンバは当然ポルトガル語の歌なのです(^^。

ここ10年くらいで、日本にはブラジルやペルーなど南米からやって来ている日系人の人が増えましたね。僕も以前やっていた仕事では、顔は日本人なのに、スペイン語しか話せなかったりする人の対応をしなければならないことが何度かありました。が、大抵は“通訳”がいたんですよ~。それはその人たちの子供さん。親は話せなくても、子供達は普通に学校行ってすぐ覚えちゃうんですね。大人がする契約事みたいな会話を、小学生のくらいの子供を挟んでするのって、とっても妙な体験でしたね~(苦笑)。


by yk2 (2008-06-03 22:36) 

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