薬師池公園の花菖蒲2012 #1 [花図鑑]
2012年06月23日(土曜日)
横浜の四季の森公園、小石川後楽園、明治神宮と、今年のハナショウブはもうたっぷりとおなかいっぱい鑑賞したつもりだったけど、また来年までかと思うと、やはり何だか名残惜しくて、結局この週末もハナショウブを見に行きたくなってしまった。確かにもう見頃は過ぎているかもしれないけど、遅咲きの分にはぎりぎり間に合うはず。
★
そうして僕が向かった先は、町田市の薬師池公園。ここ数年、この時期になると毎年の様に出掛けてみようと思いつつも実現していなかった場所だ。今回、ようやくハナショウブの咲く時期の訪問となる。
01
◆野花菖蒲(ノハナショウブ)
神奈川近郊では箱根くらいにしか自生していないらしい野花菖蒲(ノハナショウブ)がここで見られたのは、まるで予期せぬプレゼントを貰ったようなもの(^^。実は半分本気で、わざわざこの花の為に近々箱根までドライヴしようかと考えていたくらいだったから(^^。
野花菖蒲は現在5000種とも云われるハナショウブの原種であり、北海道から本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布するアヤメ科の多年草で、山野の草原や湿原に生える。大陸や半島及び日本の東北以北では濃紅紫色系の花を咲かせるのがほとんどらしいが、日本の東北以南では地域によって青紫系の花を咲かせる地域や、赤紫系と青紫系が混在する地域がある。また希にピンクや白花などの色彩変異個体が見付かることがあり、これが今日の様々な花菖蒲の発達の起源となっているんだそう(※要旨、『世界のアイリス』 日本花菖蒲協会編 / 誠文堂新光社より)。
02
◆愛知の輝(あいちのかがやき)・・・欧州産キショウブとの種間雑種。(『世界のアイリス』 日本花菖蒲協会編 / 誠文堂新光社 掲載番号#40)
黄色はそもそも日本のアヤメやハナショウブには存在しない花色。それを我が国の改良家が多彩な花色を持つジャーマンアイリスにひけを取らぬ様にと研究、改良を試みた。そうして、愛知県の大杉隆一氏が昭和25年頃に花菖蒲とキショウブとを種間交配して誕生させた第一号品種がこの『愛知の輝』となる。
この品種は、葉の色の黄緑色が通常のハナショウブと較べると一段黄色味が強く、群生植えの菖蒲田の中でもその株の区別が着き易い。
03
◆相生(あいおい)
既に花が大分くたびれてしまっているので、本来ならblogに写真を載せる様なコンディションではないけれど、今回のエントリは見て来た品種の記録なので何とぞご勘弁を。200mmのズームが届く範囲では、写真向きとなる状態の良い花が他には見付からなかったのです。
04
◆葵形(あおいがた)
05
◆池の漣(いけのさざなみ)・・・肥後系
06
◆渭水の浜(いすいのはま)
渭水の浜とは初めて見聞きする種なれど、やはりこの個体の他にコンディションの良い花を全く見つけられず・・・。さすがに6月末ともなれば、ハナショウブの季節も最終盤ですからねぇ。
07
◆糸霞(いとがすみ?) ※系統、正式な読み仮名など確認出来ず
08
◆鵜飼浜(うかいのはま)・・・肥後系
09
◆海蛍(うみぼたる)・・・肥後系
10
◆江戸錦(えどにしき)
11
◆遠州灘(えんしゅうなだ)
12
◆桜下の波(おうかのなみ)・・・肥後系
13
◆乙女(おとめ)・・・伊勢系(#98)
14
◆鬼ヶ島(おにがしま)・・・江戸系古花
今回とてもよく参考にさせて頂いている加茂花菖蒲園さんのサイト(http://www.kamoltd.co.jp/katalog/)に記されている、この品種の特徴説明に依ると、「濃い納戸色(くすんだ青色)を含む紅紫色の六英花で、芯が何本も立つ」とあるが、ここでの紫にはしっかり赤みが掛かっていて、絞り模様の様に白が差してある。ただ単にこの個体が通常よりも痛んで見た目が変化したものだったのか、それともすぐ横に在った名札は、隣り合って既に花が落ちた違う株の為のものだったのか・・・。
15
◆郭公鳥(かっこうどり)・・・長井古種(#36)
16
◆鎌田錦(かまたにしき)・・・江戸系古花
17
◆玉宝蓮(ぎょくほうれん)・・・江戸系古花(#75)
いわゆる玉咲き種。
18
◆雲衣裳(くもいしょう)・・・江戸系・菖翁花
19
◆群山の雪(ぐんざんのゆき)・・・江戸系古花
20
◆小青空(こあおぞら)・・・江戸系
21
◆小式城(こしきがじょう)・・・江戸系
22
◆小町娘(こまちむすめ)・・・江戸系古花
23
◆紅唇(こうしん)・・・肥後系
白地に紅覆輪、六英咲きの大輪
24
◆越の乙女(こしのおとめ)・・・肥後系
中途半端でヘンなフレーミングの写真ですが、実は下の方には大きな大蚊(ガガンボ)が留まっていて、息で吹いても花から全く離れてくれず、こんな絵に・・・(苦笑)。
25
◆鶴鵲楼(かくじゃくろう)・・・江戸系古花
先日の明治神宮御苑(※参照→ http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19)でも見掛けていた品種名であったため、何の疑問も持たずに写真をupして、そうしてから神宮の写真と見較べてみたところ、果たして同一品種なのかどうだか、こちらも少々怪しい。「明るい青藤色の地に白筋が入るタイプの三英花」とのことだが、この個体に入っている筋は紫で、しべの色もかなり明るい赤紫と、両者は確実に異なっている様に思える。どうも、神宮の方の「鶴鵲楼」が正解の様。
薬師池公園の菖蒲田の内、山の傾斜上の一番高い田には水も張られておらず、群生植えにもなっていない。株と株の間もきちんと間隔が取られていて、それらのハナショウブのすぐそばには、しっかりと品種名の書かれた札が判りやすく立っている。この花の写真はそこで撮影して来たものなのだ。それなのに、札と実際の花が違ってしまっているのだろうか?。あまりに品種数が多すぎて・・・と云うことなのだろうかなぁ。今回は名札の品種と写真の花が一致しないケースがこの他に幾つも発生。これでまだやっと半分の薬師池のハナショウブ図鑑作成、ちと(かなり?)苦戦してます(苦笑)。
後半はこちら ↓
◆『薬師池公園の花菖蒲2012 #2』:(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-06-30)
横浜の四季の森公園、小石川後楽園、明治神宮と、今年のハナショウブはもうたっぷりとおなかいっぱい鑑賞したつもりだったけど、また来年までかと思うと、やはり何だか名残惜しくて、結局この週末もハナショウブを見に行きたくなってしまった。確かにもう見頃は過ぎているかもしれないけど、遅咲きの分にはぎりぎり間に合うはず。
そうして僕が向かった先は、町田市の薬師池公園。ここ数年、この時期になると毎年の様に出掛けてみようと思いつつも実現していなかった場所だ。今回、ようやくハナショウブの咲く時期の訪問となる。
01
◆野花菖蒲(ノハナショウブ)
神奈川近郊では箱根くらいにしか自生していないらしい野花菖蒲(ノハナショウブ)がここで見られたのは、まるで予期せぬプレゼントを貰ったようなもの(^^。実は半分本気で、わざわざこの花の為に近々箱根までドライヴしようかと考えていたくらいだったから(^^。
野花菖蒲は現在5000種とも云われるハナショウブの原種であり、北海道から本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布するアヤメ科の多年草で、山野の草原や湿原に生える。大陸や半島及び日本の東北以北では濃紅紫色系の花を咲かせるのがほとんどらしいが、日本の東北以南では地域によって青紫系の花を咲かせる地域や、赤紫系と青紫系が混在する地域がある。また希にピンクや白花などの色彩変異個体が見付かることがあり、これが今日の様々な花菖蒲の発達の起源となっているんだそう(※要旨、『世界のアイリス』 日本花菖蒲協会編 / 誠文堂新光社より)。
02
◆愛知の輝(あいちのかがやき)・・・欧州産キショウブとの種間雑種。(『世界のアイリス』 日本花菖蒲協会編 / 誠文堂新光社 掲載番号#40)
黄色はそもそも日本のアヤメやハナショウブには存在しない花色。それを我が国の改良家が多彩な花色を持つジャーマンアイリスにひけを取らぬ様にと研究、改良を試みた。そうして、愛知県の大杉隆一氏が昭和25年頃に花菖蒲とキショウブとを種間交配して誕生させた第一号品種がこの『愛知の輝』となる。
この品種は、葉の色の黄緑色が通常のハナショウブと較べると一段黄色味が強く、群生植えの菖蒲田の中でもその株の区別が着き易い。
03
◆相生(あいおい)
既に花が大分くたびれてしまっているので、本来ならblogに写真を載せる様なコンディションではないけれど、今回のエントリは見て来た品種の記録なので何とぞご勘弁を。200mmのズームが届く範囲では、写真向きとなる状態の良い花が他には見付からなかったのです。
04
◆葵形(あおいがた)
05
◆池の漣(いけのさざなみ)・・・肥後系
06
◆渭水の浜(いすいのはま)
渭水の浜とは初めて見聞きする種なれど、やはりこの個体の他にコンディションの良い花を全く見つけられず・・・。さすがに6月末ともなれば、ハナショウブの季節も最終盤ですからねぇ。
07
◆糸霞(いとがすみ?) ※系統、正式な読み仮名など確認出来ず
08
◆鵜飼浜(うかいのはま)・・・肥後系
09
◆海蛍(うみぼたる)・・・肥後系
10
◆江戸錦(えどにしき)
11
◆遠州灘(えんしゅうなだ)
12
◆桜下の波(おうかのなみ)・・・肥後系
13
◆乙女(おとめ)・・・伊勢系(#98)
14
◆鬼ヶ島(おにがしま)・・・江戸系古花
今回とてもよく参考にさせて頂いている加茂花菖蒲園さんのサイト(http://www.kamoltd.co.jp/katalog/)に記されている、この品種の特徴説明に依ると、「濃い納戸色(くすんだ青色)を含む紅紫色の六英花で、芯が何本も立つ」とあるが、ここでの紫にはしっかり赤みが掛かっていて、絞り模様の様に白が差してある。ただ単にこの個体が通常よりも痛んで見た目が変化したものだったのか、それともすぐ横に在った名札は、隣り合って既に花が落ちた違う株の為のものだったのか・・・。
15
◆郭公鳥(かっこうどり)・・・長井古種(#36)
16
◆鎌田錦(かまたにしき)・・・江戸系古花
17
◆玉宝蓮(ぎょくほうれん)・・・江戸系古花(#75)
いわゆる玉咲き種。
18
◆雲衣裳(くもいしょう)・・・江戸系・菖翁花
19
◆群山の雪(ぐんざんのゆき)・・・江戸系古花
20
◆小青空(こあおぞら)・・・江戸系
21
◆小式城(こしきがじょう)・・・江戸系
22
◆小町娘(こまちむすめ)・・・江戸系古花
23
◆紅唇(こうしん)・・・肥後系
白地に紅覆輪、六英咲きの大輪
24
◆越の乙女(こしのおとめ)・・・肥後系
中途半端でヘンなフレーミングの写真ですが、実は下の方には大きな大蚊(ガガンボ)が留まっていて、息で吹いても花から全く離れてくれず、こんな絵に・・・(苦笑)。
25
◆鶴鵲楼(かくじゃくろう)・・・江戸系古花
先日の明治神宮御苑(※参照→ http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19)でも見掛けていた品種名であったため、何の疑問も持たずに写真をupして、そうしてから神宮の写真と見較べてみたところ、果たして同一品種なのかどうだか、こちらも少々怪しい。「明るい青藤色の地に白筋が入るタイプの三英花」とのことだが、この個体に入っている筋は紫で、しべの色もかなり明るい赤紫と、両者は確実に異なっている様に思える。どうも、神宮の方の「鶴鵲楼」が正解の様。
薬師池公園の菖蒲田の内、山の傾斜上の一番高い田には水も張られておらず、群生植えにもなっていない。株と株の間もきちんと間隔が取られていて、それらのハナショウブのすぐそばには、しっかりと品種名の書かれた札が判りやすく立っている。この花の写真はそこで撮影して来たものなのだ。それなのに、札と実際の花が違ってしまっているのだろうか?。あまりに品種数が多すぎて・・・と云うことなのだろうかなぁ。今回は名札の品種と写真の花が一致しないケースがこの他に幾つも発生。これでまだやっと半分の薬師池のハナショウブ図鑑作成、ちと(かなり?)苦戦してます(苦笑)。
後半はこちら ↓
◆『薬師池公園の花菖蒲2012 #2』:(http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-06-30)