SSブログ

Marie Claude(マリークロード) [そとごはん、そとワイン]

2013年12月15日(日曜日)
2013_12_15_MC009.JPG

 この日は六本木の新国立美術館で行われている『クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて~点描の画家たち』を観るつもりで友人と待ち合わせ。そうだ、せっかくあの辺りまで行くのなら、赤坂に在るフレンチ・レストランでランチをしようとマリークロード(Marie Claude)に予約を入れた。日本に於ける女性フランス料理シェフの草分けとされる、長尾和子さんのレストラン(http://blog.goo.ne.jp/marie-claude)。ご覧の様に、店内にはロートレックの『マルセル・ランデール嬢』のリトグラフが飾られている。厨房は長尾シェフお一人、サーヴィス担当も男性スタッフお一人の計二名にて切り盛りされている、小さいけれど居心地の好い、とても素敵なお店だ。

 今回はちょっぴり前のお話ですみません(^^ゞ。さっさとupしたかったのですが、ずっと下書きのまま進まなかったもので。





2013_12_15_MC003.JPG

 マリークロードの定番、野菜をふんだんに使ったキッシュ(この日は長葱主体)でランチはスタート。写真はないけど、12月生まれの友人を祝って、乾杯はお昼からローランペリエをフルボトルでもらって[わーい(嬉しい顔)]


2013_12_15_MC004.JPG

 シラスのオリーヴオイル煮とグリーン・リーフのサラダ。シラスはあくまでオイル煮で、素揚げになっているわけではないのでしっとり感はそのまま。新鮮なシラスの味わいを損なわない様、酸味ばかりが尖らない程度にほんのりレモンを加えてある。一見地味に思えるかも知れないサラダだけど、一口食べれば納得の味わい。シェフは神奈川の二宮に永くいらしたので、今も魚の仕入れはそちらからの物がメイン。同行の友人曰く、「私も自宅でシラスをアヒージョみたいにするけど、この料理は新鮮な良いシラスじゃないと全然美味しくないの。でも、こちらのはとても美味しいわ」ですって(^^。


2013_12_15_MC005.JPG

 このお店で何が一番に楽しみかと問われたら、僕はポタージュって答えるかなぁ。月替わりでいろいろな野菜が使われスープとして供されるんだけど、この日はキャベツ。ところが、ぜ~んぜんキャベツにある葉物特有の青臭さやクセの類は一切感じられない。前回頂いたカブのポタージュも本当に美味しかった。長尾シェフにお話を伺うと、ごくごくシンプルに作ってらっしゃるそうなんだけど、どうしたらこんなにも滋味深く優しい味わいに出来るのかなぁ~と、つくづく不思議に思ってしまう。


2013_12_15_MC006.JPG

 この後で展覧会に行くんですから、取りあえず、ワインは泡1本だけにしておきましょうと、メインは魚料理をチョイス(=赤を飲むのは我慢するってこと・・・笑)。白身魚のソテー、トマトソース。こちらにも野菜がしっかり添えられてます。


2013_12_15_MC007.JPG

 見た目も可愛らしい、この日のデセール。パイ生地がサクッと軽くて、いくらでも食べられちゃいそう。こうして写真で見ててもうっとり思い出して、また、たまらず食べたくなっちゃうんだなぁ(^^;。


2013_12_15_MC008.JPG 2013_12_15_MC002.JPG

 店内の飾りはすっかりノエル。あと10日足らずで、もうイヴだものねぇ。

 それにしても、この日はうっかりしてカメラにSDカードを入れずに来てしまい[ふらふら]、撮影は普段はほとんど使ったことのないipodにて。使い慣れないからどうホールドしたらいいものか、構図が上手く決められなくてかなり苦戦しました。結果も、トリミングしないとダメな写真ばっかり(苦笑)。この飾りたちも実物はもっと素敵だったんだけど・・・[もうやだ~(悲しい顔)]


★ ★


 長尾シェフがフランスのリヨンへ修行に赴かれた当時(1973年頃)、フランスのレストランで働く日本人は、男性料理人でさえ、そうは多くなかった時代です。ましてや当地でも厨房は男性社会。この辺りの話は、つい先日観てきたばかりのフランス映画『大統領の料理人』にも描かれていたっけ。実際、まるで子供の様にも見える小柄な若い日本人女性を調理スタッフとして雇う店など、全く皆無だったそうです。

 今よりずっと、日本人に対しての理解もなく、むしろ、逆に多くの偏見があった時代。長尾さんも散々苦労なさった末に、当時ミシュランで1つ星を獲得していたクリスチャン・ブリヨーのお店で修行することが出来たわけなんですが、それとて、そもそもはオーナー・シェフからの厨房見学許可を、言葉がきちんと解らなかったが故に、働らかせて貰えるものだと勘違いした結果と云う、殆どなし崩し的な事だったんですって(^^;。毎朝勝手に店にやって来ては、きちんとした許可も貰えていない内に手伝い始めて、どうにかこうにかやっとのことでもぐり込めたそうなのです。

 念願叶って働き始めても、全く無給の下働き。きちんとした目的意識や将来への夢が無いと出来ない、続けられないことです。そこから徐々に、その人柄や努力を周囲に認めてもらって、ようやく厨房の中に自らの居場所を掴んだんですって。マリークロードと云う店名は、その時のオーナー、ブリヨーさんがフランス人には和子(カズコ)が発音しにくいと、付けてくれた名前なんだそう。それを、日本に戻ってからず~っと大事に、お店の名前として使っておられるんですね。でも、どう云う理由でマリー=クロードに決まったのかはブリヨーさんのみぞ知る、長尾シェフにも未だに謎のままなんだそうです(^^。


2013_12_15_MC001.JPG

 長尾シェフの料理は、一言で云い表すと、「優しい味」。

 実はね、初めて伺った時は、全般的に軽いかなぁ、男性の僕としてはややパンチが足りないかも・・・。それは女性シェフが作る料理だからヴォリュームも女性的なのだろうか?。ついつい、そんなふうに思ってしまったのです。

 でもね、2度3度とお邪魔して料理を頂く内に、僕の考えは確実に変わっていきました。長尾さんの料理は、フレンチなのにまるでもたれたりしません。 ランチにフレンチ食べたのに、心地好い余韻が残っているせいでしょうか、その晩にもまたフレンチが食べたいなぁ~とまで思ってしまうのです。それは「ヴォリュームが軽い」んじゃなくて、「味わいがそのものが軽やかで、優しい味」なんだって、思う様になっていったのです。

 それにね、そもそもこのランチがもしも軽いと思うのなら、もう1皿、前菜なりメインを足せば良いだけなのです。だってね、このページに載せてある今回のランチ(それも日曜日の!)、デザートとコーヒーまで付いて、一体いくらだと思います?。たったの¥2,625円(税込み)の大サービス値段!なんですから[わーい(嬉しい顔)]

nice!(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 11

トラックバック 0